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に料理を口にする赤城を半眼で見ながら、自身の前にある秋刀魚定食をゆっくりと食べていた。
「提督はそんな方ではありません。ゴーヤさんこそ、そんな食事量では痩せ細って提督に見放されますよ?」
「提督はそんな人じゃないもの」
ゴーヤは赤城の目を見ながら返すと、一旦箸を置いて湯飲みへ手を伸ばした。赤城はテーブルの上に在る様々な料理、今度は秋刀魚の蒲焼に箸をつけていた。
「……はぁ」
ゴーヤは熱いお茶を嚥下すると、息を零した。それはお茶の熱さと美味さに満足したという溜息ではなく、呆れの余り出た溜息であった。
「赤城は、なんでスタイルが崩れないの……」
「……? スタイル、ですか?」
ゴーヤの言葉に、赤城は暫しきょとん、としてから自身の体に目を落とした。赤城の目には、常の自分の体が映るだけである。赤城の目には、だ。
「それだけ食べてその体を維持してるとか……もう女性全てに喧嘩売ってると思う、ゴーヤは」
ずず、と湯飲みを傾けてお茶を飲むゴーヤであるが、そのゴーヤにしても中々の物である。体つきこそコンパクトであるが、女性的な膨らみや柔らかさから無縁、という体付きではない。むしろ理想的な物を体現したスタイルである。同性の赤城から見ても、ゴーヤは十分に魅力的であった。
「それを言うなら、ゴーヤさんこそそれだけの食事量でよくその体が維持できますね?」
「嫌味でちか?」
「いいえ、純粋な疑問です」
半眼のゴーヤに、赤城は穏やかに返す。お互い何も口にせず、ただ静かに黙っていると、二人が居る部屋――座敷に一つの声が響いた。
「宜しいですか?」
「はい、どうぞ」
赤城の返事に、襖が開かれる。座敷に入ってきたのはこの座敷がある居酒屋、それの主である鳳翔であった。
鳳翔は手に在る盆から大盛りの焼き鳥、じゃがバターをテーブルに置くと二人に一礼した。
赤城はそれに深く頭を下げて返し、ゴーヤも正座で礼儀正しく頭を下げた。
「ゴーヤさん、お口にあいましたでしょうか?」
「はい。やっぱりゴーヤは間宮さんと鳳翔さんのご飯が一番でち。他のはいまいちでちね……」
「あら……赤城も、注文は以上で大丈夫かしら?」
「はい、十分です。今日はあんまり食べないつもりですから」
鳳翔は二人と言葉を交わすと、また一礼し廊下へと出て静かに襖を閉じた。赤城は早速、先ほど鳳翔が持って来た焼き鳥へ手を伸ばす。
「あんまり食べない……ねぇ」
「そりゃあ、潜水艦娘と比べられたら、誰だって大食いですよ?」
「いやあ、そういう枠組みだけの話じゃないでち、これは」
一本、二本、と次々と串に刺さった焼き鳥と葱を口に消していく赤城を見つめながら、ゴーヤは秋刀魚定食の残りを食べる為再び箸を手
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