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執務室の新人提督
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 赤城、という艦娘は良く知られている。
 何を、と問われれば誰もが喜んで口を動かすだろう。
 史実においては第一航空戦隊を代表する軍艦で、南雲機動艦隊旗艦であったという正規空母だ。女性の体を得て在る現在では、提督との間に子を為したと言う事から、一定の任務を終えた鎮守府や警備府等に大本営から与えられる存在である。
 しかし、それは前例にならって子を、という意味だけではない。赤城という艦娘の艦載機運用能力を戦線で活用せよ、また使い切って見せよ、と与えられるのである。
 
 様々な海上作戦を実行した提督や、その提督を助ける艦娘達は、深海棲艦側へと切り込んでいく中で制空権の確保を重視するようになり、やってきた赤城に多くの可能性を見る事になるのだ。
 初めての空母艦娘は赤城であった、という提督も少なくはない。ゆえに、赤城という存在は多くの提督達にとっての教本の様な存在ともなるのだ。
 それも、苦労を共にした、である。
 その結果、大本営の思惑通りとでも言うべきか、互いに心惹かれてそのまま結ばれるという提督と赤城は多い。

 戦艦ならば金剛大和、空母であれば赤城か加賀か、貰う為なら金草鞋。

 とは現代で歌われる提督達の今歌である。
 赤城への軍部――提督達からの想いが窺えようという物だ。
 
 当人も一航戦の、正規空母の筆頭として芍薬の様に凛々しく、海上を行く同僚達を気遣う姿は牡丹の如く美しく、想う人の隣に静かに在る風貌は百合にも似て優しげだ。
 外貌、内面、そして在り方。それら全てが高い水準にある赤城ゆえに、誰もが彼女をよく知っている。
 そして赤城でもっとも有名な事と言えば。
 
「んー……美味しいですー……」

 健啖家、という事だろう。
 
「間宮さんの豚カツも美味しいですけど、鳳翔さんの豚カツも美味しいですー」

 赤城はどんぶりに盛られた大盛りの白米を口に運びながら、豚カツにも箸を伸ばす。頬を膨らませて食事を摂る赤城の姿からは、芍薬だの牡丹だの百合だのといった華は窺えない。ただ、普段凛々しく在る事の多い赤城の、この食事を摂る際に見せる顔は、多くの提督を魅了してやまないものでもある。
 常では見れない赤城の、その満面の笑みに堕ちる者は多いのだろう。ただし、今ここで赤城と共に箸を動かしている存在は、まったく魅了されていなかった。
 
「赤城は食べすぎでち……そんなんじゃ、いつか提督にも愛想尽かされるんじゃない?」

 伊58、皆からゴーヤと呼ばれる潜水艦娘である。
 彼女は提督指定の水着と、常から羽織るセーラー服の上に黒の軍用外套を重ねていた。季節はそろそろ冬である。海の中となれば艤装のサポートもあって体温調整も出来るが、陸の上となれば寒さを遮る外套が必要なのだ。
 ゴーヤはぱくぱくと、その癖綺麗
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