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執務室の新人提督
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古参の一人として、今の鎮守府とその優秀な歩である彼女達の訓練姿を見る長門の相は満足げだ。そしてそんな長門を見る大和の相は、少々困り顔であった。
 
 大和にとって、長門は姉の様な存在だ。
 いや、正確な意味での姉となれば、大和型の塔型艦橋等をテストした比叡になるのだろうが、大和の隣で訓練を眺める長門と彼女の関係は、まさに姉妹のそれであった。
 
 長門は、提督にとって二番目の戦艦であった。建造時期が早すぎた為に過剰戦力の扱いとなり、当初出撃もなく偶に演習に出る程度であった。が、通常海域攻略にも火力が必要な時期になって来ると、長門を常時動かすだけの資源に困る事も無く、それまでの日々が嘘の様に長門は活躍した。様々な海域を開放し、あらゆる敵を見事に粉砕したのだ。
 
 一方、大和は提督にとって中期の艦娘である。彼女は何の縁であるか、かつて隣で戦った初霜の助けによってこの鎮守府で建造された。彼女も当初の扱いは長門と同じ過剰戦力の扱いで、演習以外出番がなかったのである。このまま自分は演習だけで終えるのか、艦時代と同じように殆ど海に出ず沈むのか、と気落ちする大和を支えたのは、長門である。
 
 長門は武蔵――大和の妹も居ないこの鎮守府では寂しかろうと、大和に気を配った。自身も妹である陸奥が居ないというのに、だ。
 通常提督がいた世界では、戦艦をつくってあの時間が出れば陸奥になる、などと言われているが、長門だけが出たのがこの鎮守府の恐ろしいところである。
 
 自身の事を置いて、大和に慰めを悟られまいと慰める長門の姿に、大和が何を思ったか等言うまでも無い事だろう。大和もまた素直にそれに甘え、二人は互いの縁を深めたのだ。
 そして、大和は見事に実戦での活躍を果たした。特別海域という難関を突破してだ。提督の計らいで組み込まれた演習によって鍛えられた錬度が、長門達によって支えられた日々が、大和の中で確りと実を結んだのだ。 

 そんな事があったからだろう。長門の実の妹、陸奥が来た頃にはもう実の姉妹の様になっていた程に大和は長門に懐いた。ちなみに、その陸奥との仲も良好であるので、この鎮守府では長門型は事実上三隻扱いである。一部では決戦火力三姉妹とさえ呼ばれている。
 武蔵が着任したら、そのまま改長門型扱いでいくのではないか、というのが凡その見解だ。実にオーバーキルな四姉妹の完成である。しかも長女と四女が似通っているというおまけつきだ。
 
 兎にも角にも、そんな事情もあって大和は長門に強く出られないところがあった。艦娘達のトップであり、時に大和と共に特別海域で雄雄しく戦う姿を知るからこそ、大和は尊敬もしていた。
 しているのだが。
 
「おう、長門。暇してるんやったらうちと演習でもするか?」
「うむ、しかし龍驤……お前たちは今日は駆逐艦
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