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執務室の新人提督
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きる、かなって」
「漣、ちょっと教えなさいよ」

 曙陥落である。陥陣営でも突っ込んできたのかと言うほどの陥落っぷりであった。長良のなんとも言えない視線に気付いたのか、曙は腕を組んで顔を逸らした。
 ちなみに、陥陣営とは呂布配下の名将高順、または彼の部隊その物に与えられた異名である。彼の率いる部隊は必ず攻め込んだ敵陣を落とした為こう呼ばれたのだ。
 
「ち、違うわよ! 別にクソ提督のことなんてどうでもいいし? ただ遊んでやるっていうだけの事で深い意味とか全然ないし!」
「ツンデレ乙」
「ツンデレとかじゃないし!」
「おほーっ」
「もう漣マジ意味わかんない! そんなだから秋雲と違って提督に近づけないのよ!」
「あやまって?」

 言葉こそあれであるが、最後だけは漣も瞳孔の開ききったマジ顔であった。何やら言い合いを始めた二人と、それを宥める潮を放って、長良と朧は目を合わせた。
 
「お疲れ様……」
「それほどでもない」

 朧の独特な返し方に、この子もやっぱり漣の姉なのだなぁ、等と思いながら長良は肩を落とした。世界が提督を求めて呼び寄せようと、違う鎮守府の大淀が警戒して提督を調べようと、この鎮守府は常の通りである。
 
「ゆんやー!」
「ゆんやー!!」

 意味不明な事を叫び互いにファイティングポーズをとる漣と曙の姿は、まさにこの鎮守府の提督に相応しい艦娘のそれであった。
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