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執務室の新人提督
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の人にこういうのはやめよう」
「……はい」

 素直に頷く大淀に、提督もまた頷いた。ただし、と彼は続ける。
 
「僕はあの人を信じたけど、これから先信じられない人間が出てくる事だって分かってるつもりだ」

 青臭い正義心であろうと、生涯の友であればそれは忠告も忘れない。友故にだ。
 
「だから、その時は頼むよ」
「……はい」

 大淀は力強く頷いた。
 
 少年提督は、何気なくいった言葉であろう。人間が、自身とはまた違う人間を求める、と。
 当人たちは知らずとも、いつ頃か彼の友人の配下にある浜風も、同じような事を思った。
 それが答えである。
 まさかそれ故に、提督がここに居るなどと誰が思うだろうか。星が自身とはまた違う星の血を求めた。新たなる提督の血を、この星が求めたのである。艦娘と人間の為に。
 
 
 
 
 
 
 さて、その壮大なアプローチの末この平行世界にやってきた提督の鎮守府はと言えば。
 
「はーい、ストップ。よし、休憩!」
「うっぷす……」
「はぁ……はぁ、はぁ……」
「ふぅ……ふぅ……」
「……」

 現在広いグラウンドで訓練を行っていた。
 もっとも、参加人数は少ない。妹が第一艦隊として出撃した為代行で指導艦を務める長良、訓練に参加している朧、潮、漣、曙、合計たったの五人である。
 
「んー……流石に一水戦の精鋭ねー。二水戦メニューについて来るとか……どう、二水戦来る?」
「いえ……私達、このまま一水戦で、頑張ります、から」

 代表して朧が長良に答えると、皆同意とばかりに一斉に頷いた。それを見て長良は目を細めた。無論、笑みの為である。
 
 この鎮守府において、一から四まであるどの水雷戦隊に所属するかは、当人の意志によって決められる。艦時代一水戦であっても、艦娘である今を縛る要素にはならないからだ。ただ、やはり慣れた古巣が良いと思うものなのか、艦時代の記憶が同僚と上司を求めるのか、どうにも過去の編成のままに水雷戦隊は組まれがちだ。そんな中、この朧たち第七駆逐隊は少しばかり毛色が違った。姉妹全員、一水戦になったのである。
 艦時代、一水戦、二水戦、三水戦、四水戦とばらばらになりがちだった彼女達は、今世こそはと思ったのか、皆一水戦に所属した。
 長良などはその姉妹の繋がりを尊重する反面、そんな気持ちだけでやって行ける水雷戦隊ではないと考えても居たのだが、今彼女の相を覆うのは笑みである。
 
「そっかー……でも、皆どこでも十分やれるだけの力は持ってるって事。それは忘れないように」「はい!」

 長良なりの声援に、普段大人しい潮が大きな声で返した。元々一水戦であった彼女は、本来とは少々違った運用をされる現在のこの戦隊の在り方に第七駆逐隊の中で一番合った
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