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「……」
「山城さん山城さん」
「いや、見ない。絶対見ない。見せたら貴方を沈めて私も沈む」
「なんでやねん」
提督は隣で自身の腕にしがみつく山城から目を逸らしてテレビ画面に目を向けた。ゲーム用の幾分型落ちしたそれの画面には、美麗なグラフィックが所狭しと映っていた。映像はどこか耽美で、退廃的な雰囲気を漂わせている。美麗な女性と廃墟という組み合わせが人にそう思わせるのだろうか。
「あ、山城さん幽霊出た」
「聞こえません聞こえません聞こえませんきーこーえーまーせーん!」
「あ、君、はよ写真でやっつけなこっちがやられるで」
「はいはい、えーっと」
提督は龍驤の言葉にコントローラーを操作し始めた。提督の操作はお世辞にも手馴れたものとは言えない物であった。ただし、焦った様子も無い。
「紅い蝶の方が個人的には好きなんだけどなぁー」
「そっちの方が面白いん?」
「面白いというか、作風があっちの方が僕向きっていうか、まだこれが試行錯誤の時代で色々と遊んでる部分があって好きだったんだよねぇ……あと背景設定が過去作の中で一番ぞくっとする物があったりで」
「ほへー」
どうやら提督は今作は初めてでも、前作辺りまでは確りとプレイ済みであったらしい。聞き手の龍驤はゲームには疎い物の、楽しそうな提督の笑顔だけで満足げで、特に退屈を覚えている様子も無かった。
ただ、その中で浮いている人物が一人いた。
「……山城さん?」
「……終わった? もう終わった?」
「いや、ほんまなんでやねん」
提督の腕にしがみついて目を強く閉じた山城である。その肩はまるで神通と出会ったときの如くぷるぷると震えていた。
さて、どうでもいい話だが一つ。
現在提督がソファーに座ってプレイし、龍驤が提督の右側で煎餅をかじりながらそれを眺め、山城が提督の左腕にしがみ付いて離さない現状であるが、その原因となったこのゲーム。
山城が持ち込んできた物である。
事の発端は少し前のDVDにある。自身がホラーに弱いと悟った山城は、度々就寝時間前に執務室へやって来てはライトホラー系の作品を見るようになったのだ。自己改善、弱点の克服、そういったものであろうと提督は考え付き合い始めたが、今夜に限って山城はゲームを持って来たのだ。何故か龍驤まで連れて。
「まぁ、うちも暇してるし、邪魔はせぇへんからええやろ?」
とは龍驤の弁である。山城に誘われたわけではないらしい。提督としても一人が二人になったところで問題は無いし、事実上妻になる山城との二人だけの時間に少々気まずさも覚えていたので、これは渡りに船であった。
山城がから手渡されたゲームを見て、提督は思わず目を細めた。
「て、提督……何
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