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執務室の新人提督
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零しながら何度も頭を下げた。今提督の手にある書類も、間宮手書きの嘆願書である。
 増えすぎた秋刀魚をどうしたらいいか、という物だ。
 
「皆さんの献立や健康管理を考えると、秋刀魚が体に良いからといつも出すわけにも行きませんし、かといって腐らせるなど以ての外……提督、どうか、どうか間宮を、間宮食堂をお救い下さい……!」
「お、おう」

 悩む理由はすこしあれだが、間宮はどうも深く思い悩んでいたらしい。提督の手をとって涙する彼女の姿は真剣その物だ。その間宮から目を離し、提督は貯蔵庫に置かれた秋刀魚に目を落とした。流石に冷蔵の中だけあって魚類特有の匂いは強くないが、山ほどに詰まれた秋刀魚達からは仄かに鼻を刺激する臭みが漂ってくる。
 
「……いや、これはちょっと予想以上に凄いなぁー」
「はい、私もどうした物かと思ったのですが……」

 第一艦隊不動の鳳翔が提督に応えた。
 
「海域に出るたびに、何故か誰かの艤装に常にかかりまして……その、性分でしょうか、捨てられず、つい」
「いや、仕方ない事です、はい」

 申し訳無さそうな鳳翔に提督は珍しく真顔で頷いた。艦時代の頃で思うことがあるのだろうが、艦娘という存在は食に対して拘りが強いものが多い。特にこの鳳翔などは戦後まで残り食糧難で苦しむ時代を見たせいか、食材を雑に扱えないのだ。復員輸送艦だった頃に、自身の船上で戦傷と飢えに苦しむ人々を見た彼女に、提督が言える言葉など多くは無い。

「献立などは……僕が聞くまでもないかな」
「私の食堂でも、鳳翔さんの居酒屋でも、焼き魚、刺身、蒲焼と色々分けて出してはいますが」
「なにぶん、需要と供給が釣り合っていない状態でして……」

 補給される分と消費される分が釣り合っていないのである。提督は、とある艦娘達を思い浮かべて鳳翔を見た。提督の視線を受けた鳳翔は、相を苦笑で染めて首を横に振る。
 
「赤城達もよく食べますが、流石に魚ばかりを食べるわけではありませんので……それに、ずっと食べているとやはり飽きるようですね」
「それもそうか」

 特に良く食べる戦艦娘や正規空母などが口にしていればもっと消費が早まった筈であるが、同じ物ばかり食べられる訳も無いのだ。それがどれ程美味であろうと、脳は飽きを訴えるのだから仕方ない。
 
「駆逐艦娘達はどうだろう? 食はそうでもなくても、人数は多いじゃないか?」
「提督、それが……」
 間宮は提督の後ろに居る初霜をちらりと見て言葉を濁した。その間宮の様子に、初霜は提督に敬礼して声を上げた。
 
「私達駆逐艦は、魚よりも牛や豚肉を好む傾向があり、あまり口にしないのです。勿論、現状を理解しているので極力食べるようにはしていますが……」
「でも、そんなに食べられないものなぁー」
「……は
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