4部分:第四章
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神藤さんも言う。
「向こうが必死に頑張ってるんだから。こっちはそれを受け止めないと」
「そこで自分から動いたら駄目なのよ」
クラスメイトの言葉には深い読みがあった。
「向こうが突っ込んできたら」
「こっちはそれを受け止める」
「それが女の子ってやつなのよ」
そういうことであった。これは駆け引きなのであった。
「言った通りになったでしょ」
「ええ。けれどね」
ここで神藤さんはまた言うのだった。
「何かしら」
「向こうは全然気付いていないわよ」
これもはっきりわかっていた。
「私の気持ちに」
「それは最初からわかっていたわ」
クラスメイトにとってはこれは既に頭の中に完全に入っていることであった。
「もう完全にね」
「そうよね。だからあれだけ暴走したのね」
「一人相撲ね」
クラスメイトの女の子は敬三の行動をこう評するのであった。
「あんたの気持ちに全然気付いていなかったし」
「そうね。私はずっと待っていたのに」
それが少し寂しくもあった。しかしそれでも悪い気はしないのは事実であった。
「けれどそれでも」
「悪い気はしないでしょ」
「ええ」
そしてそれを言葉でも認めるのであった。
「だって。あそこまで想われたらね。誰だって」
「そういうことよ。じゃあ後は」
「ええ。ずっと相良君と一緒にいるわ」
敬三のことが好きだからだ。だから彼女もそれに応えるのだった。敬三の自分への気持ちと自分の敬三への気持ちに。応えるのであった。
「ずっとね」
「頑張りなさいね。何かと大変な彼だけれど」
「ええ、わかったわ」
ここまで言うと笑顔で電話を切る。そうして自分の机を見てそこにある敬三の笑顔の写真を見てにこりと笑って微笑んで言う言葉は。
「これからずっと一緒よ」
その笑みは敬三だけに贈る笑みであった。それも昔から。けれどそれはあえて言わない。今までもこれからも。あえて敬三には知らせないのであった。
一人相撲 完
2008・1・4
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