第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
本当に賢いヤツらの生き方
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あらゆるステータスを無際限に鍛え上げていたのが功を奏していた。
一方の珠希に至っては、筆記試験の最中に問題冊子の空白に薄く成人男性向け雑誌の表紙ポーズ案を書き込み、面接試験中には冷蔵庫の中身を思い出しながら夕食のメニューを考えるくらいのマルチタスクの無駄遣いをしていても合格していた。
そんなことをしているから筆記試験の総合成績は主席レベルの点数を叩き出した昴に負けているのだが、そんな個人情報は教師側が口を滑らせない限り当人たちに知らされることなどまずありえないので問題ない。
「今さらだからこそ不安なんだよ」
「なんだよ星河。お前はもう少しどーんと構えてろよ」
「しょうがないだろ、昴。僕はこういう性格なんだから」
慎重な言動は決して短所にはなりえないのだが、石橋を叩きすぎて壊してしまうのは欠点でしかない。それこそ没個性になるくらい小心者と評される慎重さと、いざというときは階段の踊り場の窓から外にダイブするくらいの大胆さを持つ珠希のようになれればいいのだが、今のところガチオタを隠し通せている万能型少女とさりげない一言に毒気がある病弱少年は違う。
「別に進級かかってるわけじゃないし、あたしも気楽に考えていいと思うんだけどなぁ」
「そうかなぁ……」
「ま、星河くんに何かあったら昴くんが何とかしてくれるよ。ね? 昴くん?」
「え? あ……、お、おう」
時分には滅多に向けてこない笑みを浮かべた珠希に話を振られ、思わず驚きと呆けが混じってしまった昴は、会話に詰まりながらも応える。
だがやはり珠希は珠希。相手によって態度を変えるのは当たり前だと思っている少女のほうが強かだった。
「ほらこのとおり言質は取ったから。替え玉でもハニトラでも脅迫でもやっちゃいなよ」
「た、珠希さん……。それはさすがに……」
「てめえ。ちったぁ頭使ったアイデア出せや!」
「頭使うじゃん。一切証拠を残さずにやるとなると」
「お前それでよく稜陽高校に受かったな! 落ちた奴が不憫すぎるわ」
「人証も物証も無い犯罪は立証できないのだよ。ワトソン君」
よくて生徒指導室連行、悪くて退学、最悪お縄につく羽目になるというツッコミどころ満載な対策法を提示する珠希に、星河はただただドン引きし、昴は約束されたツッコミ役に徹するしかなかった。
しかも犯罪教唆に近づいていく発言を続ける珠希に向けて昴のツッコミも次第に厳しさを増していくが、それさえも楽しんでいるかのように珠希は殊更芝居がかったようなおちゃらけた態度を取ってみせる。
が、昴の次の一言でその表情は一瞬、凍りついた。
「竜門。てめえ、いつか絶対に新聞の一面飾るぞ。悪い意味で」
「ああ――。こほんっ。でもそれはそれで面白くない?」
「…
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