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竜門珠希は『普通』になれない
第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
本当に賢いヤツらの生き方
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少年だった経歴をバラされてしまい、昴は口の軽い星河に小さく悪態を吐きながら、顔を覗き込んでくる珠希から視線を逸らした。

「別にいいじゃんか、昴。そもそも昴はいろんな人に少しでも自分のことを理解してもらおうとする努力が足りないんだよ?」
「その言葉は俺じゃなくてお前の隣の女に言ってやれ」
「いちいちあたしに絡んでくるねー。昴くん」
「その半分はお前が勝手に自爆してるからだけどな」
「は? 何言ってんの?」
「あ? 寝言は寝て言えコラ」


「ちょっと、二人とも……」

 自分を挟んでいがみ合う珠希と昴に、星河はげんなりした表情を浮かべ、呆れ半分の声色を漏らす。
 なぜここまで見事に犬猿の仲なのだろうかと、星河は何か別の話題を見つけなければと思うと同時に、この二人のクラスメート――ひいてはこないだ知り合ったたまきと昴のいるクラスのクラス委員、匂坂雅紀の心境を気遣うばかりだった。


 それからしばらくして――自分の頭上でいがみ合い、無意味な言葉の応酬を続ける珠希と昴に挟まれていた星河はようやく別の、それも結構な時間を稼げる話題を見つけた。

「あ! そういえば、昴、珠希さんも。テスト勉強ってしてる?」
「あん? テスト勉強?」
「何それ? もう中間とかの時期だっけ?」

 犬猿の仲のくせに反応は同じという珠希と昴を前に、星河は心の中で思った。
 もう、なんか、爆発してしまえばいいんじゃないかなこの二人。……いや実際にされると困るけれど。


「違うよ珠希さん。1年生だけ受ける、学力レベル測るためのテストの話」
「え? 何それ?」
「そんなのあったか?」

 なにこの二人、もうなんか――星河の一度開いた口が塞がらなかったのは言うまでもなく――何にせよ爆発されても困るが、この二人が新一年生対象の学力測定テストの存在を全く頭に入れていないのはもっと困る。主に当の本人たちが後々に。

「でもさ星河くん。テスト範囲って中学までのなんでしょ?」
「うん。まあ、そうだけど……」
「じゃあ大丈夫じゃん。普通にしてれば」
「だな。むしろ勉強とか今さらじゃねーの?」

 石橋を叩いて渡る慎重さを見せる星河に対し、あくまでも平常運転でいいと余裕の態度の珠希と昴。
 なにこの二人――(以下、三度目のために省略)


 とはいえ、入学試験に際して生まれつきの身体の弱さとタッグを組んだ緊張からくる腹痛とも戦っていた星河に対し、実のところ、珠希と昴はともに高校の歴史に名を刻むレベルの好成績で入学試験を突破している。

 家族ぐるみで付き合いがある星河を唯一無二の親友と公言してもいいレベルで大切に(注:決して薔薇的意味ではない)思っている昴からすれば、星河がどんなレベルの学校を受けても同じ学校に行けるように
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