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竜門珠希は『普通』になれない
第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
本当に賢いヤツらの生き方
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だのだ。

 そうでなくても珠希は無意識に周囲に異性を惹きつけ、同時に馬鹿な男が魅せられるポイントである家庭的な側面やあざとさというものを目の前で実践してくれていたため、当初のメインターゲットである珠希から、珠希の周囲にいる、珠希に及ばずとも珠希を手本に自分磨きに余念のない別の少女へとターゲットを変更した男子もいる。
 しかもこれらの行為をすべて、見知らぬ男子の告白から自分を守ってくれていると珠希が勝手に思い込んでくれたおかげで彼女たちは巧みに上物レベルの交際相手を見つけていた。

 そしてこの真実を当の珠希は未だ知らなかったりするのだが、この作戦のために彼女らが吹聴して回ったのが、珠希への告白に手紙やメール、SNSの類の利用を禁止するというものだった。イイ男を呼び寄せる珠希(エサ)を24時間自分たちの監視下に置けない以上、勝手に珠希がカレシを作っていなくなられては困るためだ。そりゃあ、少しは珠希に悪い虫がつかないようにとの心配もしていたが。

 そんなこんな、紆余曲折の末――この吹聴の結果が義務教育の9年間一度も珠希にカレシができなかった事実の一端に繋がっていたりする。


「で、それがラブレターだったとしてお前は付き合うのか?」
「ストレートな質問だねー」
「そりゃもうビーンボール狙ってるからな」
「あっぶな。知らない人といきなり付き合うくらい危ないよ」
「じゃあ断るの?」
「たぶんね。そもそも中身見てないけど、きっと」
「そうなんだ……」
「ふーん……」

 顔も知らない・教えてくれない・手紙だけで名乗り出てこないような相手と男女の仲になるつもりはないと告げる珠希に対し、星河はどこか安心したような声色で、昴は意外といった風体で返す。

 実のところ、星河も昴も珠希のこの反応は意外だった。
 そもそもこのガチオタを隠し通している少女、外見だけとってみればさぞ交際相手には困らないだろうという美貌に、この県下有数の進学校に入学できるレベルの学力、バスケ部相手にバスケで勝つだけの身体能力と運動神経、そして多忙な両親に替わって一家をまとめる家事能力などなど、ここまで来たら僻みや嫉みから欠点らしき欠点はないのかと粗を探したくなってくるくらいだ。
 その数少ない欠点に友達の作り方を知らないことと著しい自己評価の低さがあるものの、当の本人がそれをあまり欠点だと自覚していない現状を前にしては、星河も昴もただただ困惑するしかなかったが。


「てか竜門。お前、何気にビーンボール知ってるんだな」
「弟が野球やってるからね。その流れで」
「へえ、そうなんだ。じゃあもしかしたら昴と出会ってるかもね」
「え? 昴くんも野球やってたの?」
「星河。お前は余計なことをぺらぺらと……ったく」

 まさかの幼なじみから野球
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