第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
本当に賢いヤツらの生き方
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て目の当たりにしたかのような珠希の反応に、いきなり大声を出された星河と昴はともに半身に構えて受け身の体勢を取っていた。
「え? えっ? これ、ほんとにラブレターなのっ?」
「昴が言うならそうなんじゃないの?」
白い封筒を手に、まるで宝くじで高額当選でもしたかのように確認を求める珠希に、あくまで――実際に他人事なのだが――それは他人事のひとつであるというスタンスをとる星河は判断を昴に仰ぐ。
だが実のところ、当の本人は手に持った封筒がまさかラブレターだとはつゆとも考えず、むしろ先日返り討ちにした上級生たちからの果たし状と思っていた――などと、どこの硬派マンガの世界だよ、とツッコみたくなるような脳内変換をしていた。
「俺に聞くなよ。中身見りゃいいじゃねえか」
「あ、それもそうだね」
「ちょ!? 待て待て待て……っ!」
昴は適当に返したつもりだったが、本気で星河と昴の目の前で封筒を開けようとする学年どころか学校でもナンバーワンと称してもいいくらいの美少女の腕を掴んで制止する。
「なになに、何なの?」
「いいか竜門。悪いことは言わねえ。人前で開けるのはやめろ」
「なんでさ?」
「お前なぁ……。仮に百歩譲ってそれがラブレターだとする。それを関係ない俺たちの目の前で開けて読むのはありえねえだろ?」
「………………………………あっ!」
たっぷり十数秒の間を置き、珠希は肝心なところを珠希自身に気付かせるような昴の問いかけに反応を示した。
この女ッ。マジで何か俺たちと……てか、一般人とズレてやがる!
今さら思い出したかのように驚いた表情の珠希を前に、昴は改めて珠希の常識度を疑ってかかる。
「俺の言いたいこと理解したか?」
「まあ……うん。手紙の主のプライドくらいは理解した」
それは差出人の直に伝える勇気や覚悟のちっぽけさを皮肉ってるのか? と下種の勘繰りをしたくなる返事をする珠希だったが、白い封筒をそのままバッグの中にしまったあたり、最低限の理解はしてくれたようだった。
そして、はたして珠希がもらったそれがラブレターかどうか確定していないものの、学校を出て帰路を辿る3人の話題は必然的にそちら方面に進んでいく。
「……で、でも珠希さん。やっぱモテるんだね」
「どうだろ? 高校生になってももらえるとは思ってなかったし」
時に女子間の嫉妬ややっかみの火種となるラブレターだが、珠希の周囲の女子はある意味珠希よりも利発的で狡猾で、珠希がモテることを好意的な方向で利用することに決めた。
つまり、小心者のうえ男女交際に奥手な珠希を自分たちの監視下に囲い込むと同時にフリーでいさせることで自分たちは獲物をゲットしようと企ん
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