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執務室の新人提督
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様にしたい、だからこそこういった相談をよせてきた提督を。
 
「しかし……話が結構反れてしまいましたなぁ」
「あぁー……ですねー」

 常に戻った様子の提督に、片桐中尉はにやりと笑う。その顔に何か見たのだろう。提督は首を叩きながら少しばかり身を正して片桐中尉の次の言葉を待った。
 
「女性と出会いがない、ですか。これはちょっとそちらの艦娘達と相談したほうが良いかもしれません」
「やめてくださいお願いします」

 片桐中尉の言葉に、提督は本気で頭を下げた。発言の意味を、女扱いしていない、として理解したら幾らなんでも提督の艦娘達でも怒り狂うだろう。いや、提督の艦娘だからこそ、と言うべきか。兎に角そうなるに決まっているのだ。女性関係に疎い提督でもその程度は理解できる。
 先ほど片桐中尉が発した言葉は、提督としては決して外に漏らしてはならぬ機密だ。
 提督は慌てて店員を呼び、片桐中尉に言った。
 
「もうなんでも頼んでいいんで、お願いします」
「ほほーう……それじゃあ、お言葉に甘えますかな?」

 とはいっても、片桐中尉ももう若くない。今でも健啖ではあるが食は衰えだした頃だ。彼は軽いものとビールを頼んでこれで手打ちとしたのである。
 ほっと息を吐いた提督は、話題を変えようとして二人の共通の人物の名を出した。
 
「で、彼はその辺り如何するんでしょう?」
「坊ちゃんは……家庭がそもそもそういう物だったから、問題ないとは思いますが。ただ……ちょいと親父さんとは毛色の違う家庭を築きそうな気は……するんですがね?」
「あぁー……」

 提督は姿を見たことがないが、片桐中尉から聞いてはいる。少年提督の父親は海軍男児らしいがっしりとした男であったらしい。となると、それとは正反対の少年提督の家庭となれば、確かに父とはまた違った物が出来上がるはずだ。
 それにしても、片桐中尉の言い方は、何か先が見えているような言い方であった。
 
「えー……その、最近彼に何か?」
「……最近、建造で愛宕が着任したんですが」
「いえ、分かりました。それ以上はやめましょう」
「……助かります」

 お互い頭を下げた。ただ、片桐中尉がどこか可笑しそうな顔をしているので、提督は首をかしげて少しばかり目で促してみた。すると、片桐中尉は頷いて応じた。
 
「けどまぁ、男女の差はありますし、愛宕はそうがっちりもしてないんですが……こう、昔の、提督と白雪が一緒に並んでた頃を思い出したりもして……逆なんですがね、絵面も。でも……どうしようもなく楽しみでもあるんですよ、坊ちゃんのこれからが」

 片桐中尉は少年提督の部下であり、父親ではない。それでも、年の離れた兄の様なつもりなのだろう。弟分の姿に、元上官の姿が重なるのがたまらなく嬉しいらしい片桐
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