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グリジェ、勝負用?」
「――……」
鈴谷の言葉に、熊野は顔から湯気を出してネグリジェを箪笥に仕舞いだした。
「え、それ寝巻き用でしょ? なんで仕舞うの?」
「あ、あなたが変な事いうからでしてよ!」
「熊野ー、今夜だって言ってるじゃん?」
「うわほんまなぐりたいわー」
神戸生まれの神戸っこ故の流暢な関西弁であった。ただし、頬は未だ赤い。照れ隠しも含んだ物なのだろう。鈴谷は青葉を、いや、提督を真似て肩をすくめて口を開いた。
「勉強するのも、女磨くのも、提督の為って……私たち良い女だよねー」
「……まぁ、そうですわね」
熊野は今度は大人しめの寝巻きを取り出して広げだしていた。ただ、鈴谷に応えるその相は若干赤い。
「提督も、さっさと手を出せばいいのにねー」
「鈴谷……」
再び真っ赤になった熊野の相に指差し、鈴谷はけらけらと笑い出す。顔を真っ赤にしたまま諦めの相で肩を落とす熊野を置いてけぼりで鈴谷は暫し笑い転げていた。
やがて、笑いすぎてこぼれ出した涙を拭いながら、鈴谷は息を整え始め
「はやく提督に求められるような女になりたいなー」
鈴谷は透明な、純粋な相で呟いた。求めているから、求められたい。愛しているから、愛されたい。出来うれば、ただ純粋に、ただ強く。自身と同じ物を提督に宿らせる為に、鈴谷は今日も自分を磨く。
「ねーねー熊野ー、私も勝負下着ネグリジェとかの方がいいかなー?」
「知りませんわよ!」
「熊野……夜だって言ってるじゃん?」
「ほんまあかんわこれ」
こんな日常の中で。
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