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い、と言わしめたのは、今グラウンドに居ない皐月と霞の組み合わせによる模擬戦である。寸止めルールであるが、目潰し、肘撃ち、膝撃ちは当然の事。関節、打撃、全てを使って相手を潰そうとするのである。
「さて、そろそろ休憩も終わりです」
手を打って鈴谷達の視線を集め、妙高が口を動かす。続いて高雄が頷いて未だ二本の足で立たぬ艦娘達一人一人を眺めて言う。
「さっさと起きなさい。提督の下に来た時から、私達に無様は許されておりません! 立って牙を剥きなさい!」
高雄の意図された攻撃的な言葉に、数人が本当に牙を剥いた。だが、それらを向けられても高雄は涼しげな、いや、それ以上に嬉しそうな相でまた頷いた。それでこそ、といった相でだ。
――そんなだから、二人ともまとめ役なんて青葉に任されちゃうんだよ。
鈴谷は小さく首を振った。
「あー……しんどーい」
自身のベッドに身を預け、鈴谷は足をばたつかせる。それを見ていた熊野は、寝巻き用の水色のネグリジェを広げながら口元に笑みを浮かべた。
その相に何か思ったのだろう。鈴谷は熊野に尖った口を向けた。幼い仕草であるが、鈴谷はこういった仕草が様になるところがある。少なくとも、熊野がやれば似合わないそれも、だ。
「しんどいなんて言っても、今鈴谷は何を見ていて?」
「……べっつにー。そういうんじゃないしー」
つい先ほどまで目を落としてた本、韓非子を少し乱暴に熊野に放り投げ、鈴谷は仰向けになって腕を伸ばした。
「んんー…………つかれたー」
「つかれたー、じゃありませんわよ、いきなり何をするんですの!?」
「夜だよ熊野ー……どっかの夜戦好きじゃないんだから、静かにねー」
「もう、本当に」
熊野がネグリジェを置き本棚に本を戻す姿を見ながら、鈴谷は室内を見渡した。二つのベットに二つの机、それから小さなテーブルに本棚と小物入れ。
重巡洋艦娘等の人数が少ない艦娘の寮は部屋が余りがちだ。希望すれば一人部屋が用意出来るほどに。ゆえに、鈴谷と熊野は最上達とは部屋を別にした。特に意味は無い。事実上改最上型であるからとか、趣味が合わないとか、そういう事ではない。ただ年頃の娘が一人部屋、或いは広い部屋を欲しがるのと同じような理由で鈴谷と熊野は部屋を分けたのだ。
「えーっと……鈴谷、これはどの本の隣ですの?」
「んー、それ円珠経と周詩の間に入れといてー」
「いえ、ジャンル違いませんの、それ?」
「いいのいいの、提督の為にはならないんだから、私的にはどこでもいいのー」
「もう……」
片して自身のベッドへ戻り、またネグリジェを手に取った熊野に、鈴谷は問うた。
「ねー、熊野」
「なんですの?」
「そのネ
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