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必要も無いかとは思いますが……気にしていただけるのであれば、それも冥利かもしれませんね」
「余り殿方に見せたくは無い姿ではあるけれど……結果を出す為の努力の姿を、提督がどう評するかは興味があります」
「かたい」
「おかたいですねー」
妙高と高雄の言葉に、鈴谷と青葉がなんともいえない相で返す。青葉達の即答に、硬いと評された二人は互いの顔を見やり、少しばかり困った相を作った。
「その、妙高姉さんと高雄さんは、あの、立場上仕方ないかと……私は思います。とっても頼りになりますし」
「ありがとう、羽黒」
控えめな羽黒の言葉に、妙高は黙って頷き高雄は笑顔で応じた。三人の姿を視界に納めて、鈴谷はまた周囲を見回しつつここに居るメンバーの事を考え始めた。
高雄、妙高。この二人は重巡洋艦娘のまとめ役である。本来ならまとめ役の立場にもっと相応しい――例えば、鈴谷達の前で倒れた利根を様々な角度で撮りだした青葉がまとめ役を担うべきであった。そういった類の鈴谷の視線を感じ取ったのだろう。青葉はカメラから目を離し、ぺろりと舌を出して肩をすくめた。
「いやー青葉は皆をこうして眺めているのが好きですから、監督役なんてとてもとても」
そう返す青葉であるが、この鎮守府における一番最初の重巡洋艦艦娘で、更に相当の戦績保有者だ。妙高、高雄も相当だが、錬度と経験では青葉には一歩劣るのである。今鈴谷の隣で愛宕の胸に憎しみの視線をぶつける足柄も、のほほんと微笑む愛宕も、大人しく黙っている羽黒も、皆提督の下で武勲を重ねた艦娘であるが、青葉にはかなわない。
そしてそれは彼女達と同じく、二本の足で立っている鈴谷も同じだ。
「なんていうか……もっと青葉に気張ってほしいじゃん、私……ら的には?」
鈴谷の言に、足柄は真面目な相で青葉を見、それに続いて愛宕も青葉に目を向けた。愛宕の相はまだ笑顔のままであったが、どこか問うような、探るような目をしていた。
それらの視線に晒された青葉は、また肩をすくめた。龍驤もそうだが、青葉もこの仕草を好んで行っている節が在る。おそらくそれは、この鎮守府の主を真似た物なのだろう。そこにまた、鈴谷に――鈴谷達に提督と青葉達古参の距離の近さを感じさせた。
「まぁ、皆さん色々思うことはあるとは思うんですがねー」
意識した提督の真似だろう。口調も、仕草も真似て青葉はカメラを覗き込みある方向に向いた。それにつられて鈴谷達も目を動かす。青葉に誘われた双眸の先には、沢山の小さな影達が機敏に動き回っている。その小さな影達にまじって、鈴谷達とそう変わらない背丈の影があった。
小さな影たちは駆逐艦娘達で、他の影は五人の軽巡洋艦娘だ。様々な型の駆逐艦娘達が、阿武隈、神通、川内、那珂、由良の指導の下体を動かしているの
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