3部分:第三章
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「へっ!?何でですか?」
「今は授業中だぞ」
そう先生に言われる。
「それで馬鹿騒ぎする奴が何処にいる」
「何処にって」
敬三は言われていることにすら気付かずに応える。
「ここにいますけれど」
「わかったから立ってろ」
先生は慣れているのか平然として敬三に言葉を返す。
「いいな。両手にバケツを持ってだ」
「またえらく古典的ですね」
「古典的で結構。俺の授業は古典だ」
だから言うのだった。
「いいな。立ってろ」
「それじゃあそういうことで」
平然として廊下に出て立つ。しかし彼は全く平気だった。相変わらずの様子でうきうきとしていた。そうして放課後になる。彼も外見を万全に整え体育館裏に向かうのであった。
「決まるぜ」
「決まったじゃないのかよ」
「決まるんだよ、この場合は」
しかし彼はクラスメイト達の突っ込みにこう返す。
「俺が神藤さんとな」
「そういうことか」
「日本語って難しいな」
「やっと神藤さんに相応しい男になれたんだ」
そこまでの超人的な努力も。彼にとっては何でもないのだった。憧れの女神とも言うべき神藤さんと告白する為にはどうということはなかった。
「だからさ。決まるんだよ」
「まあ頑張りな」
「向こうにも気持ちは伝わってるしな」
「もうなのか」
やはり気付いてはいなかった。
「神藤さんにも」
「いいから早く行け」
「体育館裏にな」
「ああ、わかった」
そう応えて体育館裏に向かう。
「それじゃあ。決めてくるな」
「ああ。しかし」
敬三が行ったところで皆は言うのだった。
「あいつ、本当に気付いていないみたいだな」
「そうみたいだな」
彼等もとっくの昔に気付いていたのだった。
「鈍感っていうか」
「やっぱり馬鹿なんだろ」
結論はすぐにそこに落ち着く。
「自分だけで暴れてるだけだしな」
「そうだよな。暴走馬鹿は大変だぜ」
「全くだ」
そんな話をしながら彼が体育館裏に行くのを見送る。実は彼等にはことの行く末がはっきりと見えていた。だがそれは敬三にはあえて言わないのであった。
その体育館裏に敬三が行くと。そこにはもう神藤さんがいた。
「神藤さん」
「はい」
神藤さんは最初から敬三を見ていた。そうして彼の言葉に応えてにこりと笑うのであった。
「ここでいいんですよね」
「はい、ここです」
見れば神藤さんは普段よりさらに奇麗だった。それを見て敬三は笑顔になる。
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