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を双眸に移し、自身の肩にある提督の右手を掌で何度も優しく握りなんだから初霜は提督に問うた。
「ところで、なんの艦種をその提督に建造させたかったんですか?」
「重巡、高雄型」
らしからぬキメ顔で提督は即答した。そのまま彼は語りだす。
「吹雪さんでもいいけれど、やっぱりあの手のショタ提督には重おっぱい艦の高雄型二人とか加賀さん長門さんが似合うと思うんだ僕は。基本というかお約束だよ初霜さん。多分秋雲さんとか秋雲さん寄りの人がこのツーショット見たら悶える上に創作意欲を刺激されるとは思うんだけどもねぇ」
「あの、提督?」
自身の手をにぎにぎとしながらも、どこか戸惑いがちな様子の初霜に提督は暫し無言で佇み、やがて空いている左手で自身の顔を覆った。
「……なんでもないよ。忘れていいからね?」
そう零した。
ちなみに、秋雲等の艦娘が一番創作意欲を刺激されたツーショットが、提督と少年提督であった事を後に初霜は知ったが、彼女は提督にそれを伝えなかった。流石にそんな理由で引き込まれても困るからだ。
とてとて、と提督は廊下を歩いていく。提督の隣を歩くのは初霜ではない。初霜の代理秘書艦をよく任される大淀、加賀でもない。提督の隣を歩くのは――
「今日は良い天気ですね、司令官!」
「うん、そだねー」
提督の初期艦吹雪である。本日の演習メンバーの旗艦だ。今回の演習相手は、エースで相手をする程の鎮守府でもない事もあって、エースではないがベテラン、という吹雪を提督は旗艦に置いた。初期艦、という事もあるのだろうが、吹雪に旗艦を任せたときの艦隊は山城とはまた違った安心感がある。皆提督の一番艦である吹雪を軽んじないし、吹雪もまた提督と皆の期待に応えようと結果を出しているからだ。
提督は嬉しそうに隣を歩く吹雪を見た。と、吹雪は突如相を一転させ泣き出しそうな顔で提督を見上げる。
「あ、あの、でも本当に大丈夫でしたか? これ私やっぱりかなりいけないことしていませんか司令官?」
「大丈夫大丈夫、僕が許可したんだから、吹雪さんは悪くないよー」
「……すいません、初霜にも悪い事をしてしまって」
しょんぼり、と呟く吹雪に提督は頭をかいた。
仕事が早く終わって暇をしている提督達のもとに、頭を下げながら入ってきたのはこの少女、吹雪であった。何度も頭を下げながら吹雪が言うのには、
『その、深雪がちょっと元気がない感じで……申し訳ないんですが、司令官に見送ってもらえば、あの子も元気になると思うんです……駄目、でしょうか?』
吹雪が言う駆逐艦吹雪型4番艦深雪、つまり吹雪の妹も今回の演習メンバーの一人だ。
こうやって人を気遣い、誰かの為に動くのが彼女の美
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