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執務室の新人提督
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公開したいと?」
「公開というか……高確率である艦種、とある型が出るレシピをねぇ」
「それは――」

 提督と初霜達がやってきた世界では、艦娘の特定レシピといえばレア艦レシピしか公開されていない。提督の数は少なく、誰もが試行錯誤を繰り返して建造、開発を繰り返している状態だ。何万、何十万の提督達が攻略ウィキで情報を交換しながら精査出来る世界ではない。どうしても、レシピなどは提督の居た場所に比べれば解明し難くなるのだ。
 
 それを、公開しようかと言い出したのだ、この提督は。
 初霜の相から読み取ったのだろう、提督はまた肩をすくめて笑った。
 
「しないよ、流石にね」

 その言葉に、初霜は大きく息を吐いて胸を撫で下ろした。ただの情報一つであるが、その情報にどれだけの有用性があるかを思えば、公開した提督の立場が危うくなる。一つ情報を出せば、もう一つあるだろうと公開を迫る筈だ。そして、それを何度も繰り返すだろう。大本営が。
 そうなれば、提督は飼い殺しだ。情報は貴重であるから意味があり、切り札であるからこそ価値がある。ならばその情報を握る提督が、不確定多数と交友を持つなど、大本営が許す筈がない。
 提督の持つ情報は、戦力なのだ。幾つもの鎮守府や警備府を御す為の、必要戦力となるのだ。
 
「まぁ、僕が見た限り、そういうのはやっぱり無いみたいだし……多分初霜さんの顔だと、出したら即アウトっぽいしねー」
「即アウトではありません」
「え、そうなんだ?」
「エターナル監禁です」

 提督に合わせたその初霜の造語に、提督は、うへぇ、と表情をゆがめ肩を落とした。
 
「あぁ、勿体無いなぁ……」
「勿体無い、ですか? その、それほど才能豊かな提督なのでしょうか?」

 珍しく、どこか攻撃的な初霜の双眸に提督は上半身を仰け反らせた。まさか自身の艦娘が提督以上の提督、という存在に嫉妬しているなどと気付けない提督は、右手で初霜をなだめながら言葉を返した。
 
「才能は……どうだろうねぇ、僕はそう言うの分からないけれど、多分、良い提督だとは思ったかな」
「良い、ですか?」
「そそそ。秘書艦の吹雪さんとも仲がよろしかったし、大淀さんとも仲良くやっていたよ。ちょっと見ただけだけど、鎮守府の雰囲気とかも良かったし、案内役の片桐中尉だって馴染みやすい感じだったしさ」

 提督の右手が置かれた肩を視界におさめて、初霜はその提督の右手に自身の掌を乗せて微笑んだ。
 
「お友達が出来たんですね」
「うん、お友達までのお友達がね」
「じゃあ、今日は間宮食堂を使って皆で輪形陣になってお祝いしましょうか?」
「やだ、それなんか怖い」
「勿論提督が真ん中ですよ?」
「やだもっと怖い」

 提督は割りと本気で慄いていた。そんな提督
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