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はなかなかに失礼な物であったが。
「あ、そうだ。僕だけなんて駄目ですよ、今度はそっちの特殊相性教えてくださいよ」
「えー……特殊相性とか言ってもなぁ」
この提督にとって相性が言いも悪いもない。敢えて、となれば性能の低さも物ともせず今だ第一線で大活躍する軽空母や駆逐艦や軽巡等と相性がいいと言えるかもしれないが、これは彼の前の世界からの癖だ。燃費が良いし、何より愛していた。艦これ、というゲームで最後に物を言うのは、どんな悪運も羅針盤もミスも覆す、或いは許す愛だ。すべてはそれに始まりそれに終わる。
データを愛し、整数を愛し、艦娘を愛し、ゲージ破壊ミスで毛根にダメージが来ても愛する。
それが、提督が提督としてやってきた提督だ。
だから、彼はそれだけは誤魔化せない。それが生身で会ったのが初めての相手でも、違う世界の違う海の提督であっても、同じ提督であるから。
「皆好きだ。そこに相性なんてないよ」
好きで始めたゲームなら、好きのまま終わるべきだ。彼にとってもうこの世界はリセットも出来ないが、愛したモノを守るために今も提督はこうして動き続けている。好きで在り続ける為に。
「……」
少年提督は、本当に呆然と提督の相を見つめた後、突如提督の手を取ってぶんぶんと振り始めた。
「え、なにこれは、やだ僕貞操の危機なのこれ?」
「す、凄いです! 凄いです! 凄いと、僕は思います!」
とある駆逐艦ととある提督の間に生まれた彼は、満面の笑みで提督の手を握って離さない。邪気はなく、稚気に富んだ相と行動であるがそれを許してしまえる何かが、この少年提督にはある。
少年提督は真っ直ぐに提督に顔を向け、頬を朱に染め声を上げた。
「と、友達からお願いします!」
「友達まででお願いします」
少しばかり疲れた顔で、提督ははっきりと応えた。
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