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岡っ引きのテンプレを崩しつつ、朝の早くからノックも無しに執務室に飛び込んできた軽巡四天王が一人球磨が吼える。
「そんなこっちゃどうでもいいクマ!」
「どうしたんだい球磨さんや。軽巡洋艦娘四天王の名が泣いちゃうよ?」
「四天王……?」
提督の言葉に、球磨は自分と並ぶ熟練度の同艦種娘達を脳裏に思い浮かべた。球磨の脳裏によぎったのは、神通、長良、阿武隈、矢矧である。
「五人いるクマ! 四天王じゃないクマー!」
「肥前のクマさんとこも四天王だけど五人クマ?」
「クマー?」
「クマー」
え、それマジ? といった相で首を傾げる球磨に、提督はうんマジ、と頷き返した。
ちなみに、龍造寺四天王という実在した五人の戦国武将たちである。
「そうなのかクマー」
「クマー」
球磨はふわりと笑い、提督は寝ぼけたまま頷く。と、球磨が目を瞬かせながら暫し考え込み始め、少しばかりの後手を勢い良く振り始めた。
「肥前だか肥後だが蝦夷だかのクマはどうでもいいクマー!」
「いや、蝦夷の熊害事件は洒落にならないの多いんだぞ球磨さん」
寝ぼけていても変に的確なツッコミを入れる辺り、この提督はぶれない。そんな提督に球磨は大きな声で続ける。
「なんかうちの妹がめっさキラキラしとる! 朝のはよからめっさキラキラしとる!!」
「えーっと、どの妹さん?」
「大井だクマー! 大井がめっさキラキラしとるクマー!!」
龍驤張りのなかなかこなれた関西弁で口を動かす球磨に、提督は首を傾げた。キラキラといわれても、寝ぼけた提督からすればあぁ、絶好調なのか、と思うだけだ。
今日の編成を提督は脳裏に描き、あぁ、と頷く。
「じゃあ、今日は大井さんMVPとりまくるかもねー」
「そんな問題じゃないクマー!?」
妹の事が心配らしい球磨と、寝ぼけたまま意味不明な事を返す提督しかいない室内に、もう一つ影が入ってくる。
「なんや君ら、朝の早くからちょっとうるさいでー」
「あぁ龍じょ――うわめっさキラキラしとる!」
提督と球磨の前に現れた龍驤は、確かにキラキラとしていた。肌や瞳が常より輝いており、あふれ出すオーラがそう見せるのである。
だから提督はゆっくりと頷き。
「あぁ、龍驤さんもMVPとりまくるかもねー」
「そんな問題じゃないクマー!?」
球磨に突っ込まれた。
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