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鎮守府に与えられていたが、それはこの世界も同じである。ただし、この世界においてはただの報酬、とうい訳ではない。大淀が言うように、前例、なのだ。
「このお二人は、結婚された提督と子を残しておられます」
その言葉に、皆が言葉を失った。当人――というよりは同族同艦である白雪と赤城は勿論、固まっていた鳳翔や、俯いていた古鷹やドヤ顔っていた雷もだ。
それほどの衝撃であった。彼女達がかつていた世界において、提督と艦娘の間に子が出来たと言う話は決してなかった。在りえなかったのだ。
不確かで、触れも出来ない相手とどうして子を生せよう。ケッコンカッコカリというシステムはあっても、触れられない互いの温もりはあまりに一方通行だったのだ。通わなければ、生す事もできないのは当然である。
「あああ、あぁ、その、その、それで、その提督や艦娘や子供は……?」
普段は自身を崩す事が少ない赤城が、何とも言えない相で大淀に続きを促した。隣の白雪は、真剣な顔で何度も頷いている。大淀は眼鏡を光らせて応じる。
「子を生されてからは一線を引き、今はどちらのご夫婦も退役です。白雪さんのお子さんは、最近提督になられて雪風を建造され大本営から一目置かれています。赤城さんのお子さんは、此方も提督になられて、特に空母運用に長けておられるようですね……最近の特別海域でも奮闘し、照月を迎えたと聞いております」
ゆえに、大本営はこの二人の艦娘を提督の下へ配属させる。それが人類の為になるからだ。
あぁそれと、と大淀は続ける。
「最近ケッコンカッコカリをした飛龍さんによく食べ物を口に放り込まれているという情報が青葉さん経由で来ています」
そこまで聞いてから、長門が目を閉じ大淀に問うた。
「それで……その退役された提督達は、重婚はしておられたのか?」
「はい。どちらも100人以上の嫁艦がおられます」
その二人の言葉で、会議室に完全なる沈黙が舞い降りた。そう、山城でさえ黙ってしまったのだ。……いや、良く聞けばやはり口が動いていた。
運悪く隣にいた初霜は、偶然その声をきいてしまった。
「どうして……どうして……なに? 山城が出る幕はもう無いというの……? どういうことなの……? ……不幸だわ……あぁ、そうよ……たとえあいてがねえさまでも……」
初霜は慌てて耳をふさぎ、そこから先を遮断した。姉妹の愛憎劇など、ドラマや本でしか見たくは無いからだ。そもそも初霜にとっては、ドラマや本でも進んで目にしたいジャンルではないが。
長門は腕を組んだまま、仁王立ち姿で目を開ける。
「聞いたとおり、ここでは珍しい事ではない。だからこそ、提督には急ぎここのルールに馴染んで貰いたいと思っている」
その上で、長門や大淀が
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