五話 船出のとき
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コンッ コンッ とノックをしてから病室に入る。
「失礼します。」
「…おや、ダイヤかい。」
お祖母様は父さんたちと話をしていたようだ。
「はい、頼まれたものは持ってきましたよ。」
私はお祖母様に頼まれた本などを持ってくるため、一度家に帰っていた。
「そうか・・・ところで、悪いけどダイヤと二人にしてくれないかね?ちいとばかし話したいことがあるんだ。」
「…わかったよ、母さん。」 「はい…」
…父さんたちが部屋から出ると、お祖母様が話しかけてくる。
「エレンは今、元気かい?」「はい。」
「でも、無茶はしない方が良いよ。 私は若い頃に無理をし過ぎた、ついにツケがまわってきたのさ。」
「はい。」……しばらくどちらも無言になるが、やがてお祖母様が口を開いた。
「…えーと、実はさ、ダイヤに一つ嘘をついていたことがあるんだ。以前、あたしの固有魔法について話しただろ?」
「…確か、解析に特化した魔眼 『アナリシス(analysis)』でしたか。対象の魔力量などを『視る』ことができると聞きましたが。」
初めて会ったときに使っていた魔法だ。
「あたしに見えるのはそんなものばかりじゃない…対象の未来すら『視る』ことができるんだよ・・・・・・・あまり驚いてないね。」
この世界に『未来予知』が可能な魔女(ウィッチ)がいることは『知っていた』し、ナイスなタイミングで助けにきてくれたり,直前に貰ったものが役に立ったりすれば誰だって怪しむと思う。
「…それで、普通 一人の人間には一つの未来しか見えないんだ・・・だから、ダイヤを初めて『視た』ときは内心驚いたさ!あんたには無数の未来が見えたのだから。」
「あんたが生み出したモノで世界が焼き尽くされる可能性もあれば、あんた自身が万物を破壊する存在になる可能性だってある・・・・・だけど、このふざけた世界の救世主になる可能性もまたある。」
「あたしには、あんたはパンドラの匣のように見えた。
開けない方が良いのかもしれない、でも開ければ内から‘‘希望”が溢れてくるかもしれない。」
「……そしてあたしは、あんたが‘‘希望”となることに賭けたのさ。」
「…お祖母様、私にも、」 『俺』にも隠していることが…
そう言おうとしたが、お祖母様はこちらの言葉を遮るように
「あんたが何者だろうと関係ない、あたしの大切な孫だというのは紛れもない事実さ。」
と言いながら、抱きしめてくれた・・・・
「・・・『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』。
人類も
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