1部分:第一章
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「むしろ。ささやかかしら」
「ささやかだったらやっぱり欲しいわ」
また言う咲菜であった。
「このままじゃ。またあいつに」
「あいつ!?ああ」
「あいつね」
皆そのあいつが誰かわかった。いつも彼女に対して何かとちょっかいを出すクラスメイトの三浦菊次郎である。彼女が一番嫌いな人間でもある。
「それこそ気にしなかったらいいじゃない」
「ねえ」
「じゃあ聞くけれど」
咲菜はむっとした顔でクラスメイト達に問うのであった。
「頭のてっぺん覗き込まれたことある?」
「それは」
「ないけれど」
見ればどのクラスメイト達も咲菜程低くはない。やはり中には小柄といっていい女の子もいるがそれでも彼女よりはずっと背が高い。
「それで頭を上からポンポンと叩かれたことは?ボールみたいに」
「まあそれもね」
「ないけれど」
同じ答えが繰り返された。
「そういうことよ。わかるわよね」
「まあそういうことされたらね」
「流石にむかつくか」
彼女達も少しだが咲菜の気持ちがわかったのであった。
「だからよ。もっと背が欲しいのよ」
「もっとねえ」
「どうしたらいいかしら」
切実な話になっていた。
「運動しても牛乳飲んでも駄目だし」
「駄目なの」
「真っ先にしたわよ」
むっとした顔のままで皆に答える。
「それでも。駄目だったのよ」
「遺伝もあるしね」
「やっぱりそうなるのね」
「それで納得しないでよっ」
思わず皆に対して言った。
「こっちだって必死なんだから」
「それはわかってるわよ」
「ねえ」
顔を見合わせて咲菜言葉に頷いている。
「ただ。それはそれで受け入れるしかないんじゃないの?」
「やっぱり」
「諦めろってこと!?」
「簡単に言えば」
皆あっさりと言うがそれは咲菜本人にとってはあまりに受け入れ難いことである。現にその言葉を聞いてその顔を余計に憮然とさせていた。
「何よ。それじゃあ何にもならないじゃない」
「そりゃ男の子ならね」
クラスメイトの一人が言ってきた。
「かなり問題だろうけれど」
「女の子だったらそれはそれでいいじゃない」
「そうなるの?」
「もてるわよ」
こう言われたのだった。
「それはそれでね」
「そうなの?」
「小柄な女の子が好きな男の子だって多いわよ」
「結構多いわよね」
これは嗜好である。だから大柄な女の子が好きな男もいれば咲菜みたいに小柄な女の子が好きな男もいる。本当に人それぞれなのだ。
「だからそんなに気にすることはないんじゃ」
「極端にはね」
「極端に気にしているのよ」
クラスメイトの言葉を受けて述べる。
「私はね。あいつにいつもからかわれるし」
「ああ、三浦君ね」
「彼ね」
菊次郎である。いつも彼女をから
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