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東方幻潜場
9.『変動』
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 東と絵文は、魔法の森の中にある比較的大きな一軒家を見つけた。
「ここが、私とお兄ちゃんの愛の巣?」
「違うわ!?というかどこで聞いたそんな単語!」
「広●苑で」
「載ってない!多分!」
 再開してからというもの、すっかりテンションがマックスになっている二人は元気が良い。いつのまにか、東の中にあった不安や焦りも消えていた。
「……。……とにかく、ここで少しかくまってもらおう」
「うん」
 扉の鈴を鳴らし、コンコンとノックをする。
 すると、眠そうな顔をした少女が現れた。
「どちらさま……ん、子供……?」
「すみません、追われている身なのです!かくまっていただけませんか?」
「ええ、構わないけど……」
 少女、アリス・マーガトロイドは突然の訪問者に困惑していたが、わりとすんなり家の中に上げた。
 人形が淹れてくれた紅茶は、非常に香ばしかった。
「……で、あなたたちは誰?見たところ普通の人間みたいだけど、追われている身って……」
「……」
 東はここに来るまでの間、その質問が来るのを予想していた。
 というのも、ここで適当に誤魔化して本当のことを伏せるべきか、本当のことを言うか。どちらも大きなリスクが付いているが、その場で考えてしまってはかえって怪しまれてしまう。
 だから、東は既に結論を導き出していたのだ。
 それは……真実を話すことだった。



「……なるほどねぇ。あんたたち、苦労したのね」
 思いのほか、アリスはあっさりと東の話を信じた。無論、嘘は話していない。しかし内容が、自分が幻想郷に危機をもたらす危険分子と捉えられても文句の言えないものであったため、何かせめて驚くぐらいはするのだろうと思ったが、アリスはむしろ「あり得ること」として聞き入れたのだ。
「それで、どこにも行く当てがないんでしょう?」
「ええ、まぁ……」
「なら、ちょうどいいわ。うちでしばらく働いてもらおうかしら」
「……!」
 東は素直に喜んだ。
 しばらくの安全が確保できるのだ。
 しかし、気になることが一つある。
 話がどうも、上手くいきすぎているのだ。
 アリスが妖怪結社に買収されて金目のものと自分たちを交換してしまう可能性がある。東はアリスが妖怪であることは既に見抜いていた。
 しかし、ここはその可能性があったとしてもあえて気にしないことにした。
 今はそんなことを考えている余裕はないのだ。
「さてと、じゃあ早速仕事していただこうかしら」
 アリスは押入れからひょいひょいと服を引っ張り出した。
「わぁ〜っ、かわいいお洋服!」
「……これを、どうするんですか?」
 アリスはニヤリと微笑んで言った。
「私が作った試作の洋服約一万着……全て着てもらうわ」
「……あの、俺はどうすれば」
「無論、あ
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