アザーワールド
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かんからな」
「確かに直しておけば、ジャンゴさんの借金が払えなくてもザジさんは温情を与えてくれるかもしれませんね」
むしろ材料費の方が高いかもしれない、という素朴な疑問をシャロンは無視した。
「そもそもサバタさんと違って、ジャンゴさんがお金の管理が下手だった事に驚きですけど」
「わしとしてはむしろクイーンの下にいたサバタがお金の管理が上手かった事に驚きなんじゃが……そこも母親に似たんじゃろうな。それと、この金属で作るのはもう一つある。鋼鉄のスミスの名に懸けて、ジャンゴに最高の剣を作ってやろうと思っておるのじゃ」
「最高の剣?」
「シャロンが持っていた刀からコンセプトを得た一品じゃ。これから作業に取り掛かるから、完成まで楽しみにしておいてくれ」
それを聞いたシャロンは自分の腰に差さっている“民主刀”、“共和刀”の柄を軽く撫でる。それはかつて大統領だった者が振るい、様々な経緯があって彼女が受け継いだ業物である。滅多に鞘から抜かないが、一応の取り扱いは心得ていると自負している。いざという時は、自分も戦うという意思を内に秘めている事も……。
用事を済ませてシャロンが外に出ると、街の入り口では他の地域から帰ってきたジャンゴをリタが迎えていた。普段ジャンゴは街の外でアンデッド退治を行っているため、彼の事を好いているリタは常に心配している。それゆえ、彼が帰ってきた時は彼女が真っ先に出迎えて、無事を喜んでいるのだ。
ちなみに2年も経った事でジャンゴも少し大人びた風貌となり、前の活動的な格好ではなく、最強のヴァンパイアハンターとして活動していた父リンゴと似た格好をしている。主に黄土色のレザーコート、黒いブーツ、茶色いレザーグローブといった感じで、帽子はそもそも昔の様にバンダナを付けているので被っていない。なお、今の彼の服を作ったのはシャロンであり、真紅のマフラーを巻いているのは今も昔も変わらずである。
「もう街の皆公認なんだし、いっそくっ付いちゃったらどうかな?」
「えぅ!? しゃ、シャロンさん!? あ、あのその、私はですね!?」
「…………」
もじもじしているリタを見て、気まずい表情をしたジャンゴはホームへと歩いて行った。様子が変な彼の後ろ姿を見て、リタが首をかしげる。
「……ジャンゴさま?」
「はぁ、まただ。この話題になると、いつも黙って逃げるんだ……」
「もしかしてサバタさまの事を気にして……?」
「いや、サバタさんの事を引きずっている訳じゃないと思うよ。もしサバタさんが来ていなければ、今頃私はとっくに死んでるもの」
「じゃあ、どうしてでしょうか?」
「本人じゃないから、流石にちょっとね。ただ……世界でたった一人の太陽仔として変な責任を感じてるのかもしれない
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