十四話:落ちた少女
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が同時刻に帰るとなればそうもいかない。
しゃべって、戦えて、賢い、八神家の守護犬ザフィーラであるが流石に分身はできない。
そのため、そういったときは片方には切嗣が向かう。
だが、どちらがどちらを迎えに行ったかで状況は大きく変わるのだ。
「む、ちょうど同時に着いたのか、アインス、ザフィーラ」
「そっちには切嗣が行ったのか、シグナム……」
八神堂の前でばったりと出くわし、珍しいこともあるものだと声を出すシグナム。
一方のアインスはどこか羨まし気に切嗣の隣に立つシグナムを見つめる。
その様子に気づいたシグナムが悪戯気に笑い切嗣の正面に立ち、口づけをするように背伸びをする。
「シ、シグナム!?」
「お父上、髪にゴミがついていますよ」
「ん? ああ、取ってくれてありがとう」
まさかそのままキスをするのかと声を上げるアインス。
しかし、シグナムは不思議そうにする切嗣にゴミを取る素振りをするだけである。
そして、振り向きざまに軽くウィンクをされてアインスは自身がからかわれたことを悟る。
「シ、シグナムは意地悪だ」
「おや? 一体先程の行動の何が悪かったのだ。私とお父上が近づいたことが悪かったのか?」
「う、うぅ……」
怒って文句をいうものの理由など言えるはずもなく顔を赤くすることしかできない。
一方の切嗣の方はシグナムに近づかれたことにも特に何も思っていないのか首を傾げるばかりである。
ザフィーラは察しているが空気を読み黙っている。
「どうしたのみんな。店の前で大きな声なんか出して?」
「ふふ、シャマル。実はな、アインスが―――」
「あー! シグナムは何も言わなくていい!」
声を聞きつけて顔を出したシャマルにシグナムが楽し気に伝えようとする。
しかし、その口はアインスの手によって塞がれてしまう。
だが、目は笑っており、彼女をからかってを楽しんでいるのが手に取るように分かる。
「ははは、やっぱり家は賑やかだね、ザフィーラ」
「……そのようですね。お父上、つかぬ事をお聞きしたいのですが?」
「なんだい?」
「お父上はご結婚なさる気はないのですか?」
ピタッともみ合っていた女性陣の動きが止まる。
明らかに興味津々といった様子で耳を澄ませるが切嗣は気づかない。
因みにシグナムは内心でザフィーラにナイスアシストだと送っていた。
そして、奮発して高級ドッグフードを買ってやろうと思う。
もっとも、彼からすれば主はやての作る物以上の物は存在しないのでいい迷惑であるが。
「そうだね……僕はみんなが居てくれればそれでいいからね」
「…………」
「みんなが幸せに過ごしてくれるなら他には何もいらないから今は考えてないかな」
「そうですか
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