十四話:落ちた少女
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あった。
こんなものなどスカリエッティならば今更見返す必要などないと不思議に思うが先程の彼の言葉を思い返して気づく。
「なるほど、そーいうことですかー」
一人で小さく呟き、頷く。しかし、まだ分からないことはある。
あのスカリエッティが楽しみにしておいてくれと言ったのだ。
自分が思う以上のことが隠されているのかもしれない。
そう考えると自然と頬がつり上がってくる。
彼女はスカリエッティの因子として、彼の冷酷さや遊び心を強く継いでいる故に。
衛宮切嗣は苦悩していた。
ここ五年程はもはや苦悩することが日課となっているが今回は悩みの質が違った。
いつもであれば世界の悲惨さや、自身の愚かさについてだが、今回は少しばかり明るい。
いや、明るいというわけではないのだが決して陰鬱な気分ではない。
純粋に困っているのだ。目の前の少女とどう接すればいいのかを。
「あー……おなかは空いてないかい?」
「…………」
無言で首を横に振る薄紫色の髪の少女、ルーテシア。
そんな少女に切嗣は犬のおまわりさん程ではないが困り果てていた。
助けを求めようにもリインフォースは来ていないために誰にも頼れない。
何故こんなことになったのかと頭を抱えたいところだが子ども前でそんな無様は晒せない。
少しばかり残った大人の意地で目の前の少女となんとかコミュニケーションを図ろうとしていた。
「ああ……そうか。二歳の子どもならそんなに話せないか。そうなると遊びが良いな」
ちょこんと座りこちらをジッと見つめてくる二歳のルーテシアの様子に内心で焦りながらも冷静に考える切嗣。
そもそも、どうして切嗣が子どもの世話をしているのかというとだ。
スカリエッティのラボを訪れたところで彼女が一人で居たからである。
ウーノに聞いてみれば彼女の母親が人造魔導士の素体として送られてきており、彼女もまた素質があるためについでとばかりに送られてきたらしい。
ただ、スカリエッティは別の案件に取り組んでいる最中なので今は何もされていない。
その為に殺伐としたラボに小さな少女が一人居るという事態に陥ってしまったのだ。
それを聞いた切嗣は自分には何もできないと分かっていながらも、罪悪感から世話を買って出てしまったのだ。
「何か、遊ぶ物があれば……」
あたりを見まわして見るもののこんなところにあるはずもない。
なおも真っすぐな視線で見つめてくるルーテシアに内心冷や汗をかいたところである物が目に留まる。
それは世界の情勢を知るために買っていた新聞であった。
これしかないと感じた切嗣は新聞を一枚ほど取り、彼女の目の前に持っていく。
「ルーテシアちゃん、ちょっと見ててごら
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