暁 〜小説投稿サイト〜
DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter2「父を探して 山科悠子の依頼」
Extra1:“怪人デジ面相”
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を受けて、何度も不採用になってるハッカーときたもんだ。
 問い詰めたら、あっさり白状したよ」

「僕のことをこんなに簡単に見つけ出すなんて…やっぱり日本の警察は優秀だ…デュフ、デュフフフフ……
 しかもそんな警察(ひとたち)と、これから毎晩一緒に過ごせると思うと、それはそれで……デュフフフフフ…」


 う、うわぁ…こいつマニア、っていうかオタク―――いや、それすら通り越して、もはや“変態”だな。表情がものすごくうれしそうだ。逮捕されて嬉しいって……


「こいつにとっちゃ逮捕自体がご褒美みたいでアレだが…まぁ仕方ないだろう」

「た、確かに…」

「…あぁ、そうだ。お前さんには礼を言っておかなきゃな」


 逮捕がご褒美、という言葉に苦笑を浮かべていると、又吉刑事がそう言ってきた。何のことかわからず首を捻ると、又吉刑事は笑みを浮かべた。


「そもそもこいつを逮捕できたのは、お前さんがくれたヒントのおかげだったからな。俺の面目もこれで保てた…恩に着る」

「い、いえそんなの……又吉刑事なら、ヒントなしでも自力で探し出せたと思いますよ」


 これは本心だ。時間はかかっただろうが、それでも見つけ出すんじゃないだろうか、又吉刑事なら。


「それはありがたい言葉だ。キョウちゃんにもよろしく伝えてくれ、『ご心配をおかけしました』ってな」

「ッ、やっぱり…」

「じゃあ、頼んだぞ」


 そう言って又吉刑事は“怪人デジ面相”を連れて、道沿いに停めてあるパトカーへと向かって行った。


 これにて“怪人デジ面相”は逮捕され、警察の機密データの漏洩は未然に防がれたのであった。
























 ―――暮海探偵事務所


「そうか、犯人は逮捕されたか。これで警察の威信も保たれ、又吉刑事の立場は安泰。万々歳の結果だな」

「しかしまぁ、依頼の“陰ながら”というのは、叶いませんでしたけど」

「そうだな…我々は、又吉刑事を侮っていたと反省しなくてはいけないようだ。我々ではあの犯人に行き着くのは難しかっただろう。
 さすがは叩き上げの刑事…その“カン”と“嗅覚”に、最大限の賛辞を贈ろうじゃないか」

「しかし、結局のところ“新宿マタギ刑事”って、どういう意味なんですかね? 又吉刑事の昔の渾名だったみたいですけど」

「ふむ―――“マタギ”は熊を狩るハンターのことだ。現場に残った足跡や臭いから執拗に熊を追い詰め、必ず仕留めてしまうという…」

「……なるほど、納得です」

「フフ…“名は体を表す”とは、まさにこの事だな」





 
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