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ブレイクブレイド 漆紅の刄と蒼き鋼のアンダーゴーレム
ユネス・ランガード
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ケースは珍しくない。
 俺もその一人だ。ゴーレムを動かす事は出来てもプレスガンを扱えず、もし仮にゴーレムを一台与えられたとしても主力装備はヘビーランスかゴーレム用の剣、どちらも接近戦専用の武装で戦場では格好の的と言える。
 こればかりは才能だ。
 俺はまだ使える方の分類と自分では自負している。
 逆にプレスガンは扱えてゴーレムを動かせない人間も少なからず存在するし俺は全くの無能とは扱われない。
 それに、俺には他人の持ち合わせない才能を持っている。
 それは――――――。





「新入り、後は頼むぜ!」
 半分酔っている上官にため息を付きつつも俺はゴーレムのメンテを続ける。
 よく、仕事中に酒を飲めるな。その神経に尊敬しながら軽蔑の視線を向けると。
「あ〜新入り、これも頼むわ」
 そう言うと上官は隣のドックで整備されていたゴーレムに指を指した。
「え…あれって大破したリカーナですよね?」
 無残に壊されたゴーレム、流石に俺一人では直せない。
 すると上官は「察しの悪い新入りだな」と言って。
「コイツをバラすんだよ。
 知ってるだろ、新品のゴーレムを造るより大破したゴーレムを治す方が金、掛かるって」
 破損状況を確認する限りだと右脚のフレームは歪み、左腕は綺麗に切断されている。
 確かにこの状態なら直すよりも新しく別のゴーレムを造った方が効率的だ。
「使えるパーツを幾らか残ってるみてぇだし解体後、使えるパーツはゴーレム整備に回しとけ」
 ……それなら最初からゴーレム整備士にやらせろよ。
 と渋々思いつつも俺は「……分かりました」と言って作業を続けた。



「ふぅー。大方、終わった〜」
 雪国専用ゴーレム【リカーナ】
 形状は今や敵国となってしまったクリシュナのゴーレムと告示し基本性能もこれと言った差はないレプリカと言えるゴーレムだ。
 以前、 リカーナ制作時にクリシュナの技術者に手を借りたためクリシュナのゴーレムと告示する型となった様だ。
 基本武装もさほど変わらず、目立った特徴はゴーレム全身を覆った布だ。
「オーイ、カモフラの予備持ってこーい」
「はーい」
 整備兵はリカーナに装備するマントの固定パーツを持って走り回る。
 整備中のゴーレムから取り外したパーツの修理を終え、ゴーレムに設置する所を見ると新型カモフラージュマントは完成した様子だ。
「お疲れ、マント取り付けるから隣のドック借りるよ」
「あぁ、頼む」
「へぇー。アンタ、一人で整備してんの?」
 作業中の俺を見て整備士は言った。
「ん? あぁ、先輩方は居酒屋で飲み中だ」
「大変だな〜腕の立つ後輩が部下だと上司は楽できていいな〜」
「俺は大変だよ」
 まだ解体の作業も残ってるし今夜は徹夜コース確定だな。

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