6部分:第六章
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「それだけでいいじゃない。授業前にちょこちょこってなおせばいいし」
「崩れないようにはしないの?」
「全然」
今は顔を洗っている姉であった。
「そんなの必要ないわ。それじゃあね」
「うん」
「今から歯を磨くからね」
要するに話せなくなるということだった。
「いいわね。それじゃあ」
「わかったわ。じゃあね」
「十分。待ってて」
「ええ」
こうして十分待つことにした遼子だった。そして誠子は本当に十分ジャストで出て来た。見ればそのメイクは随分と軽いものであった。
「お待たせ」
「本当に早いのね」
「だって。時間かけても仕方ないじゃない」
こう妹に返す誠子だった。
「こういうのって」
「私は違うけれど」
「あんたはあんた」
ざっくばらんとした姉の言葉であった。
「私は私よ。そうでしょ?」
「それはそうだけれど」
「それにね。さっきも言ったけれど」
「部活で汗かくからね」
「あんたはその為のメイクもしてるの?」
「ええ」
そういった配慮も忘れない遼子であった。やはり彼女のメイクにかける情熱と努力と工夫は尋常なものではなかった。しかもそれが結果として出ていた。
「そうだけれど」
「まああんたは体育会系の部活じゃないしね」
「ええ、まあ」
「それはそれでいいけれどね」
「そうなの」
「そう思うわよ。まあとにかく」
二人は玄関に向かって歩いていた。既にその手には鞄があるやはり学生がこれを忘れては話にならなかった。二人の通う女子高の鞄である。紺色のナイロン質のものである。
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