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この異世界に統一神話を ─神話マニアが異世界に飛んだ結果─
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多分、それだったのだ。
超越存在の否定を以て、逆説的に超越存在の実在を証明する。
いつか、最初の
創世記
(
エヌマ・エリシュ
)
よりもなお古い、
始まりの神話
(
オリジナル
)
を
閲覧し
(
み
)
たい。
それが俺の、夢だった。
誰一人として理解しない、
日登
(
ひのぼり
)
煌我
(
こうが
)
が、22歳の今日このときまで抱き続けてきた、
幻想
(
ミソロジー
)
。
俺が、異世界で出会った、青い少女に気づかされた、願いだ。
***
「ぐぅ……」
体の節々に痛みを感じて目を覚ました。目を開ければ視界に入るのは机の上に山積みになった資料やノート、模型など。全く整理整頓されていないが、俺には一応どこに何があるのか理解できているから問題ない。
しっかし……そうか、寝落ちしてたのか。
高校生くらいまでは寝落ちなんか経験したことも無かったが、大学に進んで以降はよくやらかすようになったなぁ。気を付けないと。
ともかく、昨夜の作業の続きに戻りたいと思う。
俺の職業を端的に表すなら、『統一神話学者』、だろうか。多分、正確には『比較神話学』とでも言うのだろう、国内ではマイナーな学問のジャンルを探究する研究者──の、そのまた異端児だ。
子供の頃から世界中の神話やら伝承やらが大好きだった俺は、大学はそういった方面の学校に進みたかった。しかし俺の学力で行ける大学には、そういった学校は殆どなく。結局、進学先では俺の望んだような研究はできなかった。
だから、卒業した今、俺は自力で研究を進めている。
英語と数学はからっきしなのだが、英語以外の言語なら、多少は簡単だった。何でだろうな。何で英語だけ出来んのじゃろうな。
そういうわけで、取り寄せた資料や、時には自分で資料を作ったりしながら、俺は求めていた。
『
始まりの神話
(
オリジナル
)
』を。この地球に人類が誕生してから、今日に至るまで。どのような経緯を辿ってきたのか──それを象徴する、全ての神話の起源。
と、俺が勝手に想像している神話だ。
あらゆる神話は、何らかの現象や出来事を、人の理解の及ばない領域のこと、として、古代の人々が書き表した物語である、と俺は考えている。だったら、人類の辿ってきた道を全て表した神話だってあってもいい。
今、現存が確認されていて、物語性のある最古の神話はメソポタミアのシュメール神話だ。俺は、それよりもなお古い神話を求めている。
調べることは、楽しい。
幼い頃も。大学時代も。卒業してから今日に至るまでの半年間も。誰も理解はしてくれなかったけれども。誰一人として『統一神話』を求めはしなかったけれども。
俺はきっと、自己満足でそれを調べている。俺自身が、人類の始まりを見た
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