暁 〜小説投稿サイト〜
この異世界に統一神話を ─神話マニアが異世界に飛んだ結果─
01
[1/3]
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
神話伝承の類いに興味を見出だし始めたのは、いったい
何歳
(
いくつ
)
の頃の事だっただろうか。
始まりの理由は、よく覚えていない。気が付いたときには、のめり込んでいた。
絢爛な神々。勇猛な英雄達。そして魅惑的な精霊種。最初は、ただ彼らの活躍を享受するだけだった。その輝きに。その栄光に。夢と幻想を懐いて、眼を輝かせるだけだった。
いつからだっただろうか。『神の実在』を信じなくなったのは。
英雄は、神々は、本当に居たわけではないのだ、と、いつのまにか受けれ入れていた。
しかしそれは、俺が神話伝承への興味や憧れを棄てた、ということと同義にはならない。逆だ。俺は、神の非実在性の裏に、ある目的を見いだしていた。
全ての神話は、その地に住む人々の起源を写す鏡だ。
例えば、『地母神』という概念がある。神々の中でも、母性や女性の象徴としての役割が強い女神達の事を、総称してそう呼ぶ。
その中でも、あらゆる神々の起源となる母たる大女神は、その神話の広まった土地で愛されたもの、神聖視されたもの、求められたものを司る。
例えば
大地なき島々
(
ギリシア
)
では
大地の女神
(
ガイア
)
が。
例えば
二つの川に挟まれた地
(
メソポタミア
)
では
海の竜女神
(
ティアマト
)
が。
愛された故に。求められた故に。
他ならぬ『命の源』、人類の最初の疑問たる『なぜ私は生まれたのか』『どうやって誕生したのか』……その概念の回答として、彼女らが、
祭り上げられた
(
創造された
)
。
語りあげられた
(
想像された
)
。
例えば、ひとつの英雄譚がある。そこに記されたのは、それが語られた当時にあった重大な事件や、疑問に思われたことが反映される。
砂漠の王国
(
ダヴィデ
)
は
海の民
(
ゴリアテ
)
を、
五つの会戦
(
ハメシュ・アヴァニム
)
を以て撃滅し。
夏
(
バァル
)
は
冬
(
モト
)
と争い死に、そしてまた
春が来て
(
甦って
)
冬
(
モト
)
を殺す。
その出来事が、人類にとって大きなターニングポイントであった故に。
その発見が、人類にとって重要な現象であった故に。
そんな、神話の裏を探るのが、俺の目的になっていた。全ての神話を繋げて、再解釈し、感動する。それが俺の、『神話伝承への興味』のカタチだった。
神話の裏を探るのは、楽しかった。
全ての神話の奥に隠された出来事を、概念を紐解けば、人類の起源が──
人が辿ってきた
(
アカシック・
)
全ての歴史
(
レコード
)
が分かるのではないか。それが、俺の中にあった期待だった。
いや、それはもしかしたら建前に過ぎなかったのかもしれない。俺が知りたかったのは。期待していたのは。
──人類の誕生に、その歩みに、もし、本当に神々や英雄がいたならば。
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ