圏内事件 ー推論ー
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リフを見やった。ヒースクリフはゆっくりと頷いてみせた。
「そのような手法ならば、見かけ上の『圏内殺人』は可能だーー」
もしかしていい線言ってるのか……?と淡い期待を持ったのも束の間、ヒースクリフはよく通る声で『だが』と続けた。
「ーーだが、君達も知っての通り、槍と言う武器は一にリーチ、二に貫通に重きを置いている。単純な威力では、他の武器に劣っている。それが元から威力の低いショートスピアなら尚更だ」
正解と匂わせた途端、バツをもらってしまい口を尖らせるキリト。ヒースクリフはかすかな笑みを浮かべるとさらに続けた。
「決して高級でないショートスピアで壁戦士を一撃死させるとなると……そうだな、現時点でレベル100には達している必要があると思うが」
「ひゃくぅ??」
素っ頓狂な声を出したのはアスナだ。大きく見開いた瞳で三人を順番に眺めるとぷるぷると首を横に振った。
「む、ムリでしょ……ゲーム開始から24時間ずっと最前線にこもり続けたってムリでしょ!」
「メタスラみたく、経験値ボーナスのある奴を狩り続けたとしてもか?」
「確かにそういったモンスターは出ないわけじゃないけど、狩れる数には限りがあるわ。それにいくら効率のいい狩場があったとしても、すぐに下方修正されちゃうし……」
レベル100のプレイヤーの存在は論破されてしまう。もっともそんなプレイヤーがいたとしても、何処かのギルドに所属しているはずだろう。
落胆のため息を吐いたところで自分とアスナのやり取りを聞いていたキリトがぼそりと呟いた。
「……新たなユニークスキル、か」
「確かにその線はあるだろう。わたしとユーリ君と、二つ以上存在している今三人目、四人目のユニークスキルホルダーが居たとしても不思議ではない」
もっともそんなプレイヤーがいたら真っ先に勧誘しているがね……と続けたヒースクリフはこちらへと向き、パチリとウィンクした。本日何度目かわからない鳥肌が立った。
「……それにしても料理遅すぎではないか?」
ヒースクリフの問いかけに答える者は居らず、代わりに渇いた風がのれんを揺らし表で謎の鳥がカァーと鳴いた。
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