圏内事件 ー推論ー
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疑問は解消されたものの議論は再び振り出しへと戻ってしまう。
首を傾げ、他の仮説を考え出そうとするも案は浮かばず、途中でキリトが『もし、上空から街の中へ入った場合、コードはどうなるのか』と言いだすが、『圏内は街区の境界線から次層の底まで垂直に伸びた円柱状の空間』とヒースクリフが《圏内》の定義を説明し、キリトの案も今回の事件のギミックとは関係ない事が証明されてしまった。
「しかし、料理が出てくるのが遅いな、この店は」
「同感です。……選択間違ってない?」
「キリトに任せた時点から間違いだろ」
「酷いな。おい。ま、他では味わえない雰囲気って感じでさ。そういったところも楽しんでくれよ。氷水ならいくらでもお代わりできるから」
安っぽい水差しを手に取り、全員のグラスに冷水を足していく。
アリガトと言うが、それきり会話が止まってしまい、いまだ料理も運ばれて来ない。薄暗い店内が余計に暗くなった気がした。
何かいい案でも浮かばないか……とぼんやり考えつつ店の奥で調理をしている店主を観察しているとキリトがぐいっとグラスの水を飲み干し、トンッと音を立ててテーブルへと置いた。それを合図として、アスナ、ヒースクリフの視線がキリトへと集まった。
「なぁ……物凄い威力のクリティカルヒットを喰らった時ってHPバーはどうなる?」
「……そりゃあ、ごっそりと減るわよ」
何を今更と言いたげなアスナ。空になったグラスに水を注ぎつつ、何かを思いついたらしいキリトに続きを促す。
「減り方だよ。SAOの場合、大ダメージを受けた時被弾してからのHP減算のあいだにわずかなタイムラグがあるだろ?」
「つまり、そのタイムラグのあいだにカインズを教会に移動させて吊るしたって事か?」
おそらくはキリトの言いたかった事を代弁すると本人から肯定の発言が返ってくる。
「でもさすがに時間が少な過ぎるだろ」
「いや、カインズ氏は装備から見て、 壁戦士 だ。総HPはかなりあるはずだし、一気に満タンからゼロまで減らせば……そうだな、五秒くらいはあるはずだ」
なるほどと納得する一方で、掠れた声でアスナが遮った。
「待ってよ。カインズさんはボリュームゾーンでも上の方のプレイヤーだったのよ。そんな人のHPを単発の……しかも槍で一撃死させるなんて無茶よ」
「まぁ、そうだろうな」
アスナの反論にキリトは困ったように眉を顰めた。
確かに一撃死なんてあり得ない。全身を防具で固めたプレイヤーに……例えはダメージディーラーであるキリトが重単発技《ヴォーパル・ストライク》をクリティカルヒットさせたとしても、減らせて精々半分ほどだ。
ちらりと先ほどから瞑目して話を聞いているヒースク
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