3部分:第三章
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第三章
「メイクが薄くてもね」
「お姉さんも見てみたいな」
「朝早いらしいぜ。どうする?」
「じゃあ明日にするか」
「明日ね」
遼子は彼等の話を聞き逃さなかった。
「明日お姉ちゃんを見るつもりね。成程」
「どっちが美人かな」
「えっ!?」
彼等の今の言葉には思わず叫びそうになった。
「何ですって!?」
「お姉さんとあの娘どっちが奇麗かな」
「お姉さんじゃねえの?」
一人が何気なく言った。
「多分だけれどよ」
「何ですって!?」
また思わず叫びそうになった遼子だった。
「私がお姉ちゃんよりも下ですって!?」
「お姉さんも滅茶苦茶美人らしいからな」
「健康的な美人ってか」
「ああ、そうらしいぜ」
このことがまた繰り返される。
「あの娘とはまた違ってな」
「ふうん、そうか」
「何かよさげだな」
「よさげも何もないわよ」
唇を噛み締めて呟く遼子だった。
「こんなに努力してるのに。お姉ちゃんよりも下だなんて」
「どっちにしろ明日楽しみだな」
「お姉さんがここに来る時間何時だ?」
「これより一時間位前らしいぜ」
「そうか」
何故かこのこともチェック済みの彼等だった。一歩間違えれば完全にストーカーのレベルだが自分達では全く自覚していないようである。
「じゃあいつもより早起きしてな」
「見に行くか」
「しかし。あれだよな」
ここで彼等は話を微妙に変えてきた。
「美人姉妹っていいよな」
「俺の妹なんてよ。ブスでよ」
「ブス!?」
「ほら、あいつだよ」
一人がふと前を指差す。遼子も横目でその指差した方を見るがそこには小柄な可愛らしい女の子がいた。遼子が見ても到底ブスとは言えない娘だ。
「あいつブスだよ」
「そうか?」
やはり一人はそれに違和感を見せていた。
「別にそうは思わないけれど」
「そうかしら」
「そうだよ」
何を言ってるんだといった口調だった。
「全然奇麗じゃねえか」
「御前にはわからないんだろ」
「主観よ」
遼子は傍から聞いてこう思った。
「完全に。いつも側にいればわからないものなのよ」
「あれじゃあずっと結婚できねえな。あれだけブスだとな」
「そうか?じゃあ俺がアタックしてもいいか?」
「できればな」
言外に無理だよ無理、という言葉があるのがわかる返事だった。
「あんなのに目がいくなんて御前も趣味が悪いな」
「まあそう言ってろよ。とにかくだ」
「ああ」
「お姉さん見るの楽しみだな」
「そうだな。全く」
「負けないわよ」
話を聞いている遼子の全身に青い炎が宿った。
「お姉ちゃんに。お姉ちゃんなんかに」
闘志を全身にみなぎらせていた。その闘志をそのままに学校に向かう。学校に入ると早速クラスメイト達が彼女
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