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豹頭王異伝
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最高の軍師
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柄であるが。
 モンゴールの人々は概して堅忍不抜、裏表の無い忍耐強く粘り強い正直者が多い。
 荒波に揉まれた凄腕の交渉人、カメロンの様な海千山千の強者とは人種が異なる。
 20代の若武者は素直に兜を脱ぎ、豹変した訳ではないが率直に答えた。

「カダイン伯爵、いや、アリオン子爵は貴公と同様に捕らえている。
 ダレン大佐も諜報活動の経験者、カダイン出身で目端の利く男だ。
 ハラス大尉の噂は聞いていないが、部下達に捜索させる。
 マルス伯が戻るまで自重しろ、と直筆の手紙を書いて貰えるかな。
 アリオンとダレンの説得が済み次第、アムネリス殿下の御前に案内するよ」

「忝い、カメロン殿!
 モンゴール大公家に忠誠を捧げる者として、御礼を申し上げる!!」
 直情径行の武人は数タルザン前と一変、青い瞳も崇敬の念が溢れんばかりに輝く。
 思わず頬が緩み失笑する寸前、カメロンは微妙に顔の筋肉を制御し若輩者の肩を抱いた。

「アリオンも俺の話を聞く耳は持たんのだが、モンゴールの為に説得してくれ。
 カダイン出身のダレンも、カダイン伯爵の彼から話を聞く方が抵抗が少なかろう。
 3人とも俺の一存で釈放、トーラスへの帰還を黙認する」
 外交官としても有能な元提督の読み通り、2人も数タルザンで翻意する事となった。

「アムネリス様、よくぞ、御無事で!
 御子息の誕生、おめでとう御座ります!!」
 光の公女アムネリス、エメラルド色の瞳を持つ赤子を一瞥した瞬間。
 モンゴール青騎士団長、二代目マルス伯爵の青い瞳から涙が溢れた。
 カダイン出身の黒騎士団長官、情報部隊の指揮官も頭を垂れる。
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