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最高の軍師
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ゴール青騎士団司令官、マリウス・オーリウス伯爵。
トーラス動乱の際、ゴーラ軍の捕虜となった幽閉者の瞳に凄絶な炎が踊る。
「アムネリス様に、男児が誕生した。
俺が名付け親となり、ミアイル公子の継承者となって貰う心算でいる」
下手な説得や弁明は避け、単刀直入に事実を告げる。
感情に惑わされず、淡々と語られた言葉は真実の響きを感じさせた。
「何だと!
アムネリス様に、男児が!?
お前が名付け親、ミアイル公子の継承者だと?
裏切り者イシュトヴァーンが、そんな事を許すものか!」
新マルス伯マリウスの瞳に驚愕の色が浮かび、内心の衝撃を露呈する。
「イシュトヴァーンには、男児誕生の事実を知らせていない。
ミアイルと名付けたのも、俺の一存だ。
アムネリス様の自害を喰い止める為には、他の手段を思い付けなかった。
モンゴール大公家の後継者に、とは思っているが秘密裏に事を運ばねばならん。
お前が協力してくれなければ、どうにもならんだろうな」
心理戦を有利に導く機会を逃さず、カメロンは一気に畳み掛けた。
鋼鉄の強靭さを秘めた剛毅な黒い瞳、爛々と光る青い瞳が激突。
目に見えぬ火花が散り、新マルス伯爵が叫んだ。
「頼む、アムネリス様と御子息を守ってくれ!
モンゴールの為だ、協力する!!」
人心収攬の練達者は無表情《ポーカー・フェイス》を貫き、冷徹な男を装っていたが。
20代の実直な武人を更に翻弄する必要は無い、と見て破顔。
太陽の様な微笑を見せ、無造作に鍵の束を取り出し牢屋の扉を開ける。
するりと格子の中に足を踏み入れ、思わず後退する若者に掌を差し出す。
クムの銀色鬼と畏怖される軍勢を破り、大公を討ち取った際の戦友と固い握手を交わした。
「感謝する、マルス伯。
イシュトヴァーンが留守の間に、事を進めて置きたい。
アムネリス様に会い、心を落ち着かせる一助となってくれ。
モンゴールの騎士達を組織して、大公家の再興に備えると誓う事でな」
「そ、それは、願ったり叶ったりだが、そんな事をして、大丈夫なのか?」
「あんまり、大っぴらに動かれると困るがな。
トーラス出身の騎士達に、クムの密偵が暗躍してないか見張らせてはいる。
貴公の部下達にも働き掛けたいが、誰か、適任者を推薦して貰えると有難い」
「ヤヌスの戦いで殿軍の大隊を率いたダロスは、生き延びているのだろうか?
副官を務めたドルクス、アロス、デイクスも乱戦の中ではぐれてしまった。
黒騎士団の長官に任命された盟友アリオン、情報部隊の指揮官ダレン大佐は?
まだ若いが俺の従兄弟、ハラス大尉も戦死していなければ力になる筈だ」
マルス伯爵の遺児マリウスは単純と評される事もあり、朴訥な人
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