1部分:第一章
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のケーキ屋ねえ。まああたしはケーキの残りいつも貰えるからいいけれどね」
「ケーキ屋さんはアルバイトとして最適よ」
遼子はあくまでこう主張する。
「ファッションだって勉強できるしケーキの作り方だって勉強できるし」
「女の子らしくってやつかよ」
「食べたら駄目だけれどね」
これにはかなり注意しているようだった。
「太るから」
「デブになるのは駄目なのかよ」
「太る体質だとね」
憮然として姉に語る。
「お姉ちゃんみたいに太らない体質じゃないのよ」
「けれどよ、遼子」
誠子はまたトーストを食べながら妹に言う。またジェムをたっぷりとつけてミルクと一緒に食べている。やはりカロリーがかなり高そうだ。
「御前もそんなに太る体質じゃないだろ?違うか?」
「油断大敵よ」
遼子が気にしているのはこのことだった。
「太ったら絶対に駄目よ。適度でないと」
「適度かよ」
「だから食べ物にも気をつけてるのよ」
「気にし過ぎだと思うがね」
「お肌だってね」
今度は肌についても言う。
「大事なんだから。いい?」
「聞いてやるよ。いつものことだけれどな」
「日焼け止めクリーム塗って」
見れば雪の様に白い遼子の肌である。それは確かに奇麗だ。
「ボディソープも合うの使って。ちゃんと寝てシャンプーも洗顔クリームもね」
「確かに奇麗だよな」
姉も妹が奇麗なのは認めるのだった。
「ちゃんとして。拭き方だってそうだし夜のお風呂の入り方もね」
「だからよ。そこまでするのかよ」
「するのよ」
はっきりと断言する遼子だった。
「いい?お姉ちゃんはね」
「御馳走様」
言っている側から合掌する誠子だった。
「それじゃあな。歯を磨いて顔洗って先行くからな」
「部活の朝練?」
「そうさ」
にこりと笑って席を立ち妹に告げる。
「今からな」
「その顔で行くの?」
じろっと姉を見て問う。
「ノーメイクじゃない」
「学校で軽くするからいいんだよ」
「髪もセットしてないし」
まだ姉に対して言う。
「そんなので行くなんて信じられないわ」
「そうか?誰だってそうだろ」
「そうじゃないわよ」
またムキな顔になる遼子だった。
「お姉ちゃんだけよ、そんな人」
「そうかよ」
「そうかよってね」
「じゃあさ、お母さん」
遼子に構わずに台所にいる母親に声をかける誠子だった。
「これ。水につけとくから」
「ええ、それで御願いね」
お母さんはもう洗いものに入っている。食器を洗いながら誠子に返すのだった。
「後は洗っておくからね」
「有り難うね」
「遼子ちゃん」
どちらかといえば遼子に似ている若作りのお母さんは遼子に声をかけてきた。声の色も似ている。
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