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第一章
美容健康
松浦遼子はいつも努力していた。その努力の対象は何かというと他ならぬ自分自身に対してだった。
毎日早朝のランニングとシャワーは欠かさない。トレーニングジャケットを着て汗をかいてからそれを浴びる。ストレッチも筋力トレーニングも欠かさず食事にも気を使っている。
「またそれかよ」
「そうよ、これよ」
姉の誠子に応えながら朝食を食べる。朝食はサラダや野菜スティック、それに豆乳、野菜ジュースといったヘルシーなものばかりである。
「美味しいからよ」
「美味しいからってそればっかりだろ、御前」
「身体にもいいからよ」
見れば姉の誠子はハムエッグやらトーストもある。しかもトーストには苺ジャムをこれでもかという程つけて美味しそうに食べている。しかし遼子はそのサラダと投入を食べ続けている。
「朝からこうしたものを食べてるとね」
「まああたしも食べてるけれどね」
「お姉ちゃんそれにしてもいつもよく食べるわね」
「食べないともたないんだよ」
平気な顔で妹に告げる。赤髪をポニーテールにしていてもう制服を着ている。小麦色に日焼けした顔で目は大きくはっきりとしている。口元は引き締まっていていつも微笑んでいるように見える。胸はないがスタイルもよくとりわけ制服から見える脚のラインが美しい。
「陸上部だしな、あたし」
「そうなの」
「そうさ。それで遼子」
「何?」
「御前またあれか?」
妹にからかうようにして声をかけてきた。
「これから。髪の毛をブローしてメイクして」
「そうよ」
眉を少し顰めさせる。その栗色の髪はふわふわとした感じで肩のところまであり口元は穏やかな感じで目は姉に似て大きく眉は細い。儚げな感じで胸も姉より大きいが何処か幼い印象を受ける。それは童顔のせいでもあるが身体つきもそうした感じであった。
「いつも通りね」
「メイクなんてする必要あるのかよ」
誠子は頭の後ろに両手をやって身体を伸ばしつつ述べた。
「そんなにないだろ。軽くファンデーションしてリップだけでいいだろ」
「それだけでいいわけないでしょ」
目をきっとさせて姉に言い返す。
「いい?メイクはね」
「はいはい、わかってるさ」
むきになった妹のその言葉を受け流すようにして返してきた。
「女にとっては武装だって言いたいんだよな」
「女はいつもフル装備でないといけないのよ」
真剣な顔で姉にまた言い返す。
「服装だってね。お姉ちゃんみたいにそこいらにあるブラとショーツじゃ駄目なのよ」
「見えないところにもってか?」
「そうよ」
そのきっとした顔でまた言い返してきている。
「いつも勝負下着よ。その為に私はね」
「バイトもしてるんだってか?」
「その通りよ」
「駅前
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