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にきょとんとし、口元に手を当てて首を傾げた。
「お嫁さん……ご結婚ですか?」
「うん」
「……山城さんは、"第一旗艦"ですよね?」
「お、おう?」
大淀の口から突如山城――提督のケッコンカッコカリ艦娘の名が出た事に、提督は少しばかり身を竦めた。ただ、それは彼にとってゲーム上の仕様の一つであり、限界突破の為のシステム上の……艤装の強化だと思っていたのだ。勿論、山城との間に特別な何かがあることは、提督も理解していたが、申し込んだ際山城からお断りされているのも事実である為、深い意味のある物だとは思っていなかったのだ。
ただ、提督はそれ以上に大淀の言葉に何か違和感を覚えた。
――確かこれ、前に加賀さんの時にも……。
そう思った提督は、大淀へ問いかけた。
「ごめん、今なんて?」
「……? 山城さん?」
「じゃなくて、山城さんが?」
「……あぁ、"第一旗艦"ですか?」
加賀は、第一艦隊旗艦、と山城をいい、大淀は第一旗艦と山城を言った。ただ、その中で同じ部分が提督にとって妙に引っかかって聞こえるのである。
「あぁ――えっと、その……」
んん、と腕を組んで首を傾げ始めた提督をちらちらと見ながら、大淀は忙しなく眼鏡のフレームを触りつつ早口で言った。
「他の誰かが第二旗艦や第三旗艦になる事もあるでしょうから、私はそのまぁ別に大丈夫です。指のサイズも今度報告しておきますのでご安心ください。他にもお嫁さんが欲しいと言われるなら、はい、確りと皆で準備しておきますので少しばかりミーティングをしておきたいので失礼致します」
言い終えると、大淀は口調同様すばやく敬礼をして執務室から出て行った。
提督は暫く大淀が出て行った扉を見つめた後、呆然と自身の左手を見た。彼の目に映るのは、長年共にあった手があるだけで、他には何も無い。そう、なにもない。
決して、薬指に銀色の指輪などない。
「……え? 他のお嫁さん?」
ぽつりと呟いたはずの声が、提督の耳には何故か酷く大きな声に聞こえた。
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