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ます」「お前それグアノ環礁沖海域でも同じ事言えんの?」「たべりゅー」「お前それ比叡嫁の俺の前でも同じ事言えんの?」「お前それ磯風嫁の俺の前でも同じ事言えんの?」「うちの飛龍が大人四人前くらい食べられないと紹介できないとかいいだしたんだけど、これ多聞さんくるの? ねぇこれ人殺し多聞丸さんくるの?」「にゃー」
ネタにネタで返して来たのである。
――いや、ネタの筈……だよなぁ?
ネタでないとしたら周囲の鎮守府もちょっとあれである。
何か怨念じみた物が滲んで見えるコメントもあるが、気のせいだと提督は思い込む事にした。あとその飛龍さんは目にハイライトがあるか無いかで大分対処方法が変わるから、と今度レスする事に決めていた。
提督は青葉通信を末頁から一面記事へと戻し、そこにある見出しを視界に納めた。
江風海風着任、国家の大慶也。瑞穂之真に在るものや? 空母機動艦隊、速吸と風雲へ拍手喝采の大歓迎。対空の要照月、鎮守府着任セリ。リベッチオはぁはぁ。
などの見出しに目を通し、提督は天井を仰いだ。この際、周囲の鎮守府の大分あれなところは無視して確りと考えようと提督は目を瞑った。
今回、提督は海域最深部までの進攻を控えた。彼にとってここはまだ未知の部分が多い。前と同じように進めて、轟沈したなどとなれば当人にも、そしてこれまでやってきた仲間達――艦娘達にも死んでも詫びきれなくなる。だから、提督は適当なところで切り上げた。それでも、彼はここでは着任一ヶ月未満の提督だ。提督の今回の働きは、そんな新人が上げられる様な戦果ではなく、十分異例の事態であった。
しかし、提督は目を開けて天井を見たまま考え続けていた。
提督の経験で言えば、夏は大型のイベントが来る。そして提督の感覚が正しければ、今回の特別海域はまさに大型のイベントそのものであった。そんな中、限られた提督しか擁しないこの世界でも、最深部まで進攻し照月を迎えた提督が存在するのだ。我知らず、提督は拳を握り締めた。何千、何万の提督がいる世界ではない。百いるかどうかの提督達が、攻略ウィキでの緻密な情報交換をするでもなく、手探りで暗い海をかき分け照らした。
――そうだ、だからなお更同僚が必要だ。
この世界を感じさせてくれる、この世界を当然に理解している、この世界の提督の知己と助けがこの世界に馴染もうとする提督にはどうしても必要だった。
ここはもう、彼の知るゲームの世界ではない。提督の采配一つで艦娘は死ぬ。例え同名同型の艦娘を建造し邂逅しようと、それは別人だ。彼が前の世界から愛した艦娘ではない。
思考の渦の中で肺に溜まった熱を逃すため、提督は一度大きく息を吐いて周囲を見回した。
常の執務室で、そこにはいま提督以外誰も居ない。
秘書艦で
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