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執務室の新人提督
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つくらい艤装あるよねぇー?」
「ありますよ、北上さんと大井さんと木曾さんは、相当高い錬度の艤装が三つあります」
「ですよねー」

 重雷装巡洋艦娘達は特別海域のトリプルエースである。最近では艦種によるルート限定もあって海域での無双も出来なくなってきたが、彼女達の開幕魚雷と夜戦での安心感は、古きを知る提督達にとってこれ以上無いものである。ゆえに、大抵のベテラン提督は札対策も兼ねて複数所有する。
 提督は腕を組んでじっと天井を睨み、すぐ初霜に目を落とした。じっと自身を見つめる初霜に、提督はまだ口を動かす。少しばかり気になる事があるからだ。
 
「……じゃあ、大鯨は?」
「大鯨さんは、えーっと……あぁ、潜水母艦の艤装と、龍鳳用の艤装があります」
「あー……やっぱりかぁ」

 提督は悔しげに頭をかき、初霜はそれを不思議そうに眺める。
 提督には一人の大鯨と二人の龍鳳がいた。潜水母艦大鯨と、軽空母龍鳳と、軽空母龍鳳改、だ。自身の鎮守府に招かんが為に、どれだけの時間を捕鯨に割いたか等、提督からしたらもう思い出したくも無いほどだ。一番大変だったのは、捕鯨にかり出された艦娘達であろうが。
 兎にも角にも、少なくは無い時間を割いて育て上げた艦娘が一人消えてしまったような物だ。提督にはそれが悔しかった。
 
「あ、すいません」
「……え?」

 初霜は頭を下げ、慌てて口を動かす。

「龍鳳さんの未改造艤装もあった筈です」
「……あぁ、じゃあ、いいんだ」

 掌で顔を覆い、ほっとした相で佇む提督に、初霜もまた胸を撫で下ろして息を吐いた。そして、そのまま類似の状態――複数の専用艤装を持つ艦娘達の名を上げ始めた。恐らく、提督は今この情報を欲しているのだろうと彼女は思ったからだ。
 
「他にも、山城さんも通常の戦艦艤装と、前まで使っていた航空戦艦艤装が一つずつあります。現在は二段階目の特殊改装艤装です。あとは……」

 初霜の口にする情報は、過去に提督がPC上で複数所持していた艦娘達そのままであった。改装で艦種を変えた艦娘や、通常、改造、改二それぞれ一人ずつ、といった所持の仕方は、そう珍しい物でもない。ただ、流石に艦娘所持数にも限界がある。提督などは同じ艦娘を三人も四人も持つのはお気に入りだけであった。艤装の数や状態を、提督の為と口を動かしていた初霜は、しかし突如として滑らかにあった口を閉ざした。
 
「……えーっと?」
「……」

 真っ直ぐ、秘書艦として提督に向かい合っていた初霜が、少しばかり頬を朱に染めて言葉を紡いだ。
 
「わ、私も三つ、艤装があります。その……ありがとうございます!」
「あ、う、うん?」

 初霜の言う、ありがとう、がなんの礼か提督にはとんと理解できなかったが、顔を赤く染めた少女が真面目
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