それから
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皿に盛られた肉団子を口に放り込み、力強く咀嚼した。喉を大きく鳴らして嚥下し、今度はテーブルに置かれたフライドチキンを手にして齧り付いた。噛み千切り、何度もかみ締めてまた飲み込む。それから、霞はコップを手にして大きく呷った。テーブルにコップを勢い良く戻し、霞は周囲を見回す。
場所は、彼女達が常から使う間宮食堂だ。普段とテーブルの配置が違うのは、今夜は宴会だからである。それも特別な、だ。
それぞれのテーブルに、姉妹、或いは親しい者達が集まって各々が料理や飲み物を手に笑顔で言葉を交わしている。
霞は更に目を動かし、それらを良く見た。
鳳翔、間宮、伊良湖、瑞穂、瑞鳳といった、今夜の宴にと料理に腕をふるった艦娘達が苦笑を浮かべ、金剛姉妹達はべろべろになってテーブルに突っ伏す長姉の介抱中だ。青葉は珍しく馬鹿笑い中で、意味も無く古鷹や加古の肩を叩き、衣笠がそれをたしなめている。酒を好む連中は明日の事も考えてない様子で杯を空けては満たし、また空けては満たしと繰り返し、酒を飲めない連中も場の空気に飲まれて普段よりどこか開放的だ。
霞はそれらを見てから、また自身の前に目を戻して、自分の前にある料理を口に放り込んだ。愛らしい少女姿に似合わぬ、どこか乱暴な仕草だ。それを横目でみていたらしい、彼女の姉である満潮が咎めた。
「汚いわよ、霞」
「はぁ……? 別にいいでしょ、あたしがどう食べても」
姉に対しても、霞の調子は変わらない。が、その姉も姉できつい性格の持ち主だ。満潮は霞に対して挑発的な笑みを浮かべて口を開いた。
「甘えん坊よね、霞は」
「……なに? 喧嘩売られてる?」
「図星だからって、すぐそうやって睨むのはどうなの?」
「……はぁ?」
「なによ?」
霞と満潮は相を険しくして睨み合い、やがて同時にため息をついて力を抜いた。周囲の艦娘達が自身達に注意を寄せていると気付いたからだ。
「まったく、あのクズ司令官……」
「まぁ、あれはあれで司令官らしいともいえるけれど……」
二人はまったく同じ仕草で肩を落とし、またため息を吐いた。同じ型の姉妹であるためかその姿は良く似ている。そんな二人がまったく同じタイミングで、同じ仕草を行ったのだ。それを目にしてしまった者は、二人に悪いかと思いながらも微笑んでしまう。
「……もう良い、今日は食べる」
「……せめて食事と、作ってくれた人に失礼にならない食べ方をしてよね」
笑われている、という訳でもないのだが、周囲から生ぬるい視線を送られる事に二人は我慢できず、他の事でそれを紛らわせようとした。今彼女達がもっと簡単に出来る事は、自分達の前に置かれている様々な料理を食べる事だ。
満潮はハンバーグを一口サイズに切り分けて口に運び、明日はいつ
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