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突如着任しなければ。
提督にとってここはファンタジーの二重掛けだ。慎重にもなるし、疲労も負担も積もってかかるばかりであった。
「よく分からないわ……」
「多分、知ったらここに来た以上に驚くよ」
提督は握ったままの山城の手を僅かに引いた。
「なんですか……?」
「多分、そういうのも含めて……君か初霜さんに真っ先に言うから、次からは」
「そ、そうですか……そうですよ、私は第一艦隊旗艦……提督の旗艦で、初霜は提督の秘書艦なんですから、そうしてください」
「うん、それにしても、皆先に納得済みかぁ……」
気の抜けた顔で呟いた提督に、山城は弱弱しく首を横に振った。
「ちょっと違います……正確には、ここに来たのも、提督が出てこないのも仕方ないと納得している派と、ここに来たのは納得しているけれど、提督が出てこないのは嫌派、がいます」
「はい?」
山城の言った内容を理解しようとする提督は、しかしその作業は中断を余儀なくされた。
廊下から、音がする。そして、何か言い合う声も。
「……?」
「あぁ、このタイミングでぶつかるとか、流石初霜と青葉ね」
「は、はい?」
提督は再び混乱に陥った。脳内で処理が終わらぬ作業があるというのに、また作業が増えたのだ。特に優秀というわけでもない彼のスペックでは、処理落ちで動作も鈍りつつある。
なぜか、まったく落ち着いた様子で山城は提督にゆっくりと語りかける。
「つまり、提督がいてれればそれでいいの派筆頭の初霜と、提督が出てこないのはじっとしてられないな派筆頭の青葉のぶつかり合いが、今そこの廊下で進行形です」
「――え?」
山城が指差すそのドアの向こうから、何かが倒れるような音がした。
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