8部分:第八章
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ですか」
「おわかりになられましたね」
「はい」
少しぼんやりとしたものが入っているがそれでも頷いたのだった。
「そういうものですか」
「これから一文字様へのお嬢様の御言葉は多くなりますよ」
これについては言葉が真面目なものになった。
「そこは御了承下さいね」
「毅然としたですか」
「けれどそれも愛情表現ですので」
こう告げるのであった。直弥に。
「よく御存知を」
「わかりました。じゃあ」
「お嬢様を頼みましたよ」
「僕が頼まれるのじゃなくてですか」
彼は年下である。年下ならば自分が何かとされるものだと思っていたのだ。だから沙代子も色々と言って来るのだと思っていた。だがそれは違うというのだ。
「沙代子さんを」
「そうですよ。お嬢様は甘えん坊ですから」
「甘えん坊って」
「末っ子でして。いつも旦那様や奥様に甘えておられるんですよ」
「そうだったんですか」
「実はそうなのですよ」
これまた直弥にとっては驚くべき話であった。
「ですから。お嬢様が甘えて来られたら」
「はい、その時は」
「御願いしますね。是非」
「わかりました」
執事の言葉にこくりと頷くのであった。
「それじゃあ。頑張ります」
「頑張って下さい。是非共」
「はい」
何はともあれ頷く直弥であった。執事の言葉が正しかったのは後になってわかったのだった。優しくて優雅で気品のある生徒会長も女の子だった。夢見がちで甘えん坊な女の子だった。それがわかったのは本当に後のことだった。すぐにわかるものではなかったのだった。
生徒会長 完
2008・8・21
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