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して箸を手にした。提督は本当に美味しそうに箸を動かし、その顔がまた明石に笑みを与える。
提督は一旦弁当をテーブルに置き、わかめと豆腐が浮かぶ味噌汁の入った椀を取り啜った。濃くもなく薄くもないそれが、実に作った艦娘達らしいと思ってから、提督は明石を見た。
提督はここ最近での経験で、座り方にもそれぞれが癖がある事に気づいた。座り方、というよりは正確には座る場所、だろうか。提督とゆっくり食べたいタイプは隣に座り、提督と話したがるタイプはテーブルを挟んで正面に座る、と。
――今回はさて、どうだろうか。
等と考えている提督に、明石が口の物を飲み込んでから声をかけた。
「提督?」
「はいはい?」
「この前大淀が買っていったインスタントラーメン、もう食べました?」
「いやー……なかなか食べる機会がないんだなぁ、これが。本とかでも、買ったらそれで安心ってのあるけど、これもそうかなー?」
「あぁー……私も趣味でプラモとか買いますけど、案外作らないんですよね、あれって」
欲しいと思って購入しておきながら、手元にあるという安心感が彼らにそれを実行させない。実によくある社会人からの病気である。今度、また今度。そうやってずるずると引っ張っていくのだ。
「あと、最近提督戦闘機ばっかり作ってますよね?」
「あれ、加賀さんとかと話た?」
「いいえ、工廠は酒保のすぐ傍ですから、すぐ分かるんです」
工作艦明石の本当の仕事場と言えば、酒保よりも工廠だ。遅延なくすぐに動けるようにと、それらの設備はどの鎮守府や泊地でも大体近場に置かれている。当然、それはこの鎮守府も同じだ。
「へぇー」
「いや、へぇって提督。ここのトップが知らないのはどうかと思いますよ?」
「僕は判子とサインして、皆を誉めるのが仕事なんだなー、それ以外は知らない知らない」
「じゃあ、私の事誉めてください」
「くわばらくわばら」
「提督はどこが故障したんですかねぇ」
半分くらいは本気で口にした明石の相に、提督は弁当箱で顔を隠した。
その後も、あれはどうだ、これはどうだ、誰それがこうで……等と会話は弾み、気付けば二人の弁当箱は空になり、明石が執務室に来て相当の時間が経過していた。
明石は弁当と魔法瓶を片付けはじめ、提督は自身と明石のコップを洗って定位置に戻す。明石は提督の背に声をかけた。
「そこ、不調とかありませんか?」
「全然、流石明石さんと夕張さんとスーパー北上さまと妖精さんが拵えたモンだよ。壊れる気配もないねー」
ぺちぺちと洗面台を叩きながら答える提督のその言葉に、明石は喜色を帯びた相でまた口を開く。
「じゃあ、次は何作ります?」
大淀辺りが聞けば怒り狂っただろう。これ以上執務室を改
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