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るべきか、愛情料理なんだぞこの唐変木めちくしょうと怒るべきか迷い、結局平静を装ってテーブルに弁当を並べる作業に集中した。
集中した、等と言ってもそれは直ぐにおわる。まだ暖かい弁当はレンジで温めなおす必要もないし、味噌汁も魔法瓶に入れて持って来たのを椀に注ぐだけだ。流石に座ったままでは悪いと思ったのだろう、提督もお茶程度は用意し、明石の前に彼女専用の薄桃色のコップをおいた。
自身の前に置かれた、なみなみ、とはいかないが、そこそこに注がれたお茶を見て、明石は緩やかに握った拳の甲で口元を隠しつつ僅かに笑った。
「あれ、なんか間違えた?」
コップはそれぞれ、艦娘によって分けられている。明石の反応から、それをもしかして間違ってしまったのではないかと心配しだした提督に、明石は首を横に振った。
――結局何を言われても、提督が何かしてくれた程度で大丈夫、なんて言えないし。
明石は提督とテーブルを挟んで向かい合い、提督が弁当箱を開けるのを待った。未だ疑問符の飛び交う相ではあったが、明石の視線に促されるように提督は弁当箱へと手を伸ばし箱を開けた。
「おぉ……」
中に詰まったそれらを見て、提督は嬉しそうに眦を緩めた。その提督の姿に明石は、うんうん、と頷いて自身の弁当箱の蓋を開ける。中身は、量こそ少ないが他は提督と同じだ。
白米、少し辛めのミートボール、甘いソースの焼きそば、塩をふった焼き魚、塩分控えめのポテトサラダにキュウリと沢庵。
全体的な栄養バランスにこだわったのは大淀であり、少し辛めのミートボールを作ったのは試したがりの夕張で、弁当箱とお椀は明石作である。あとは互いに互いを手伝いながら作った。まさに外も中も三人の合作である。
執務室から出てこない提督のため用意された食事当番は、明石にとって発表された当初憂鬱な物であった。何せ彼女は、姉妹艦がいない。いや、実際には姉妹艦に該当する様な工作艦が存在するのだが、艦娘として存在しないのだ。北上や秋津州なども工作艦であった頃もあったが、彼女達は別の艦種として確立してしまっている。
どうしたものかと肩を落としていた明石の背を叩いたのは、夕張であり、大淀であった。姉妹艦がいないなら、居ない者同士で協力すればいい。簡単な事であった。その際、島風、あきつ丸、まるゆ、そして配属されたばかりの瑞穂にも彼女達は声をかけたのだが、島風は天津風に誘われ陽炎姉妹に、あきつ丸は鳳翔と龍驤の配慮で軽空母の自由枠に、瑞穂は千歳のところに、まるゆは潜水艦娘達にと、それぞれ誘われていた。ちなみにパスタ達はジャガイモ達に誘われたが食文化の違いから解散した。
「旨そうだなぁー……頂きます」
「はい、いただきます」
提督の言葉に明石は応え、手を合わせる。二人は一礼
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