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ぞれがそれぞれに、需要があるわけである。
初霜からの説明を聞いて、なるほどなるほど、と頷いていた暁は、ん? といった様子で首をかしげて初霜の顔を覗き込み始めた。
「あ、あの……何か?」
「んー……んー……? んー…………まぁ、いいか」
初霜には応えず、暁は缶に残っていたコーヒーを飲み干して立ち上がった。珍しく、ぷくり、と頬を膨らませる初霜の顔を見て、暁は彼女の頭から帽子を取る。
「あ……」
と零し、名残惜しそうに自身の頭をさする初霜に、暁は顔を近づけて
「ひはいです……あかふひさん」
両手で初霜の両頬を引っ張った。が、それも直ぐに終わる。両頬を開放された初霜は、自分の前に立つ暁を見上げて、唇を尖らせた。
「もう、なんなんですか」
「初霜だなーって思って」
「わかりません……」
本当に意味不明だと思っているのだろう。素直にそう書いてある初霜の顔を見て、暁は笑った。淑女らしからぬ笑みであったが、暁は幼い顔に相応しい笑顔で暫しコロコロと笑うと、
「あぁ、あと少しで輸送任務ね」
自身の右手に巻いてあるデフォルメされた犬の顔型の腕時計、そこにデジタル表記された数字を確かめながら暁は左手に持っていた帽子を自身の頭に乗せた。
「じゃあ、いってくるわ。暁も頑張るんだから、初霜も頑張ってね!」
そして暁は、初霜に背を向けた。
輸送任務までの時間は、まだ30分以上ある。だが、可能な限り15分以上の余裕をもって任務につくのがこの鎮守府のルールだ。暁は一旦背後に振り返った。彼女の目に、小さくなってなお、未だ暁に手を振っている初霜の姿が見えた。それに大きく両手を振って応え、暁はまた前に向き直り歩いていく。目的地は港に設置された待機所だ。
だが、そこにつく少し前に、暁は声をかけられた。
「どもどもー、青葉ですー。今ちょっとだけよろしいですか?」
青葉だ。トレードマークのメモとペンと手に話しかけてくる青葉に、暁は時計を確かめてから頷いた。
「時間遵守はレディの嗜みなんだから、早くしてよね!」
「えぇ、それはもちろん。では、提督が執務室から出てくるには、どうすれば良いと思います?」
「部屋の前で宴会するとか?」
「おや、日本神話をご存知で?」
「ううん、この前那智が食堂で言ってた」
「あー」
そんな調子で、二人は会話を続けていく。青葉は質問し、暁はそれに答える。その質問も終えたところで、今度は暁が青葉に質問した。
「青葉、これなにか意味のある質問なの?」
「……あー……いえ、なんと言いますかー……」
目を泳がせ言葉を淀ませる青葉に、暁は目に力を込めた。
「司令官をいじめたりす
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