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なくて……あと」
「あと?」
「初霜ってちょっと怖い」
「怖い?」
提督は腕を組み、自身の秘書艦初霜の顔を思い出した。記憶にある限り、怖い、という顔はない。怒った顔がない訳ではないが、幼い顔立ちもあって怖さがないのだ。うんうん、と唸りだした提督に長良が声をかける。
「なんというか、正統派実戦一水戦道と花の二水戦を合わせたまったく新しい水雷戦を、うおーって言いながらしそうで」
「なぁにそれ」
「この前秋雲と初雪と望月が言ってました」
「お前らじゃなかったらどうしようかと」
「あとその話を聞いて神通さんが戦闘中の顔でアップを始めて涙目の阿武隈引きずってグラウンドに行ってました」
「ばいばいアブゥ」
一頻り内容のない会話を続けたあと、提督は椅子から立ち上がった。秘書艦代理の加賀が長良に任せると言った以上、付き合った方が無難だろうと提督は諦めたのだ。箪笥からスポーツウェアを取り出し、長良に向き直る。
「風呂前で着替えてくる」
「覗けばいいんですか?」
「ううん、なんで?」
「え、筋肉のつき方とか確かめないと、効率的なトレーニング出来ないじゃないですか!」
「そのままの綺麗な君で居て下さい」
そう言って、提督は風呂場の前で服を着替え始めた。脱いだ服を腕にかけて戻ると、長良は提督を待っている間暇だったのか、これから確りと動くつもりだからか、アキレス腱を伸ばしている最中だった。
スポーツウェア姿の提督を見て、嬉しそうに長良は立ち上がり
「いやいや、いやいや、いやいや長良さん長良さんながらさーん」
腕をもみ、足ももみ、肩を撫で回し、腰をもみ、抱きついた。
長良が、提督に。
「長良さん、長良さん、なんか良い匂いがするする長良さん」
「え、何です?」
未だ平然と提督に抱きついたまま、長良は体中をまさぐりながら、なんら乱れもない調子で返した。その姿を見て提督は、動揺する自分が可笑しいのだろうか、と思い始め長良に任せるままにした。諦めもあったが、長良の行動にやましさを感じられなかったのが大きい。
やがて長良は、うんうん、と頷き一歩下がって上から下まで、スポーツウェアに着替えた提督を眺めて、
「司令官、全然体出来てない!」
何故か嬉しそうに言った。このもやし野郎、と詰られた様な気分で提督は肩を落として首を横に振った。初雪望月秋雲が艦娘のインドア派代表なら、この提督は現在インドア派人類代表の様な男だ。
電源ゲームから非電源ゲームまでこなし、CoCTRPGではオレ・メッチャ・ウラギリスキーというキャラを作って探索パートでPC関係間で猛威をふるい、戦闘パートでムンビに瞬殺された後次のPCを作っている間にゲームが終わっていた事もある猛者なのだ。
体が出来て
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